“終活”中の中尾彬が語る「60歳くらいまでは、気に入らないこともいっぱいやったほうがいい。そうすると、だんだん不純物が沈殿して澄んでくる」人間力インタビュー (1/2ページ)

日刊大衆

中尾彬(撮影・弦巻勝)
中尾彬(撮影・弦巻勝)

 私は千葉県木更津の生まれで、絵ばっかり描いている少年だったんです。そこで、美大に入ってパリに留学したところ、「塩と砂糖を描き分けろ」って試験が出た。

 そんなの無理だよと思ったんだけど、ブラジルから来たヤツが描いたのを見ると、どっちがどっちか、ちゃんと分かるんだよね。

 ああ、こりゃ俺に絵描きは無理だと思って俳優の道に進んだわけだけど、役者になってみて分かったね。

 似せようとしたから、描けなかったんだ。「これはしょっぱい塩だ」「甘い砂糖だ」という気持ちで描けばよかったんだということが。

 絵と芝居はよく似てると思うんだ。私は芝居をやるとき「この役はどんな色だろう?」と考えるし、風景画を描いているときは、「あの窓からはニンニクを炒める匂いが漂ってきている」と想像する。そうすることで、役のたたずまいが立ちのぼってくるし、絵にはドラマ性が生まれる。

 映画もそう。いい映画っていうのは、時代の色あいや匂いが映っている映画だと思っていますね。

 私は台本をもらったら、この男は何を着て、どんな眼鏡をかけ、どんなかばんを持つだろうと細部にわたって監督と話し合います。だから、家には眼鏡やら時計やら、もちろん“ねじねじ”のストールが山のようにありました。

 そう。「ありました」と過去形。2017年に病気をしたのを一つのきっかけに、ありとあらゆるものを処分したんです。いわゆる、終活ですね。だって、私と(奥さんの池波)志乃には子どももいないし、残しておいたって邪魔なだけだからね。

■終活の基本は「もったいない」と思わないこと

 終活の基本は「もったいない」と思わないこと。どうしても迷う物があったら、1週間置いておいて夫婦で相談して「やっぱり必要」と思ったら、残す。そうすると、ほとんどの物が必要じゃないね。写真なんて、1枚もない。全部燃やしちゃったから。

 一般的には女性のほうが物への執着があるみたいだけど、うちの場合は志乃のほうが潔いね。もう、どんどん捨てちゃう(笑)。

 今は食事が楽しみだね。

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