豊川悦司、60歳になって考えたこと「『豊川悦司』という男にほんの少しでいいから、俳優以外の人生を与えてあげたい」 (2/3ページ)

日刊大衆

自分としてはやはり、オリジナルの役のほうがワクワクしますね。

■「豊川悦司」という男にほんの少しでいいから、それ以外の人生を与えてあげたい

 1995年のドラマ『愛していると言ってくれ』(TBS系)で、僕が演じた、聴覚障害を持つ画家「榊晃次」も、企画の段階からみんなで作った一人です。

 不安だったのは、障害を持つ主人公のドラマが受け入れてもらえるのかということ。当時はまだ、障害を持つ人に対しての理解が今ほどありませんでしたから。でも、せっかく僕をキャスティングしてくれるのだったら、それまでなかったようなラブストーリーを、皆さんに観てもらいたい。そんな思いで取り組みました。僕にしてみれば野心的な作品だったので、とても評判になってうれしかったです。

 俳優という仕事は、観てくれる人に「面白い」と感じてもらわなければいけないと思っています。僕らが好き勝手やってもいいけど、伝わらなければ、作っている側の努力はゼロになってしまう。だから、いかにお客さんに楽しんでもらえるか、ということを考えながら演じています。

 映画やドラマは、お客さんの反応を直接感じることはできません。でも僕は、映像作品における最初の観客は、カメラマンや監督、現場にいるスタッフだと思っているんです。

 カットがかかった後のスタッフの表情を見ると、うまくいったかどうか、なんとなく感じられる。監督が「オッケーッ!」とテンション高く言ってくれると、「今のは良いカットだったかな」と手応えを感じる。そんなふうに分かるんですね。

 僕も長いこと俳優をやってきて、今年60歳になりました。もういいかげん、残された時間が見えてきたので、それをどう使うかということも考えます。

 僕には、これまで俳優しかやってこなかった「豊川悦司」という男にほんの少しでいいから、それ以外の人生を与えてあげたいな、という思いがあります。

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