岸田内閣「低支持率&大臣3人クビ異常事態」でも絶対辞めない理由!目指すは「来年5月」の国家イベント

11月21日、JNNニュースは岸田文雄内閣の支持率が30.5%だったと発表した。これは、2021年10月4日の岸田政権発足以来最低の支持率となり、支持しないと答えた人は44.7%だった。
岸田内閣には逆風が続いている。10月24日には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会=以下統一教会)との深い関係が指摘された山際大志郎前経済再生担当大臣(54)、11月11日には死刑に関して失言をした葉梨康弘前法務大臣(63)、そして11月20日には寺田稔前総務大臣(64)が更迭された。
政権発足以来最低の支持率に加え、1か月の間に3人もの大臣が罷免されるという異常な事態は、一体どういうことなのだろうかーー。
そこで、本サイトは、政治評論家の有馬晴海氏に岸田内閣の低支持率の原因と今後について、詳しく聞いた。
「岸田首相が内閣発足以来最低の支持率30.5%を記録した理由は、もうひたすら統一教会ですね。自民党所属の議員と統一教会の関係が取りざたされている中、とにかく支持率の“下げ止まり”をさせたい。
支持率が高ければ、そのまま粘って押し切ることもできたかもしれませんが、支持率が低い現状では大臣の不祥事が輪をかけて批判されることになる。そうなると、辞めさせにくいけれど結局辞めてもらうしかなくなり、統一教会との関係が批判された山際氏に加えて、失言があった葉梨氏や政治資金問題に関する報道があった寺田氏などが、雪だるま式に巻き込まれていますね」(有馬晴海氏=以下同)
■統一教会問題の国民への埋め合わせが「バラマキ政策」
岸田首相は、自民党と統一教会との関係に関する対応を国民から迫られている。10月9日に共同通信が発表した全国電話世論調査では、自民党所属議員と統一教会の関係調査について83.2%が「自民党の対応が十分ではないと思う」と回答するという結果に。
「統一教会については、岸田氏本人が深く関わっていたわけでもないので、どんどん出てくる自民党所属議員の統一教会との過去に関して、岸田首相がけじめをつけることができない。どうにかして支持率を上げたい、と考えた結果が、全国旅行支援、Go To イートキャンペーン、出産一時金増額などの“バラマキ政策”です」
全国旅行支援は10月20日から開始し、Go To イートキャンペーンは10月26日に再開した。さらに10月28日に閣議決定された「総合経済政策」では、世界的なエネルギー代高騰に伴う電気・ガス・水道代の負担軽減のため、各家庭で最大4.5万円程度の家計支援を行うことが目玉として盛り込まれた。また、出産一時金として、妊娠届出時と出生届出時に合わせて10万円程度の支援を行うことも決定した。
「こうした補助は、国民にとっていいように聞こえますが、お金は天から降って来ません。実際には税金が財源なわけで、このバラマキのツケは、近い将来国民にまわってくるでしょう。今後、年金を60歳ではなく65歳まで払うようになるとか、新型コロナウイルスのワクチン接種が無料から有料化される、といった形で表れてくるのではないでしょうか。
消費税も、2021年9月18日に“10年程度は上げることは考えない”と、当時自民党の政調会長だった岸田首相が話していたにもかかわらず、増税を検討するという話が報じられています。国民の生活困窮への対応ならば、賃金上昇の対策を国会で話し合うべきなのに、大臣の罷免で国会を混乱させて1か月無駄にしただけでした」
■低支持率が続いた首相はどうなるのか?
最近は、北朝鮮からのミサイル発射が続いており、11月18日午前に発射されたミサイルはEEZ(排他的経済水域)内へ落下したと考えられる。これに対して岸田首相は「断じて容認できない」と北朝鮮を非難。
しかし、国民からはミサイル対応時の紋切り型のコメントを揶揄する声も上がっており、「断じて容認できない 最も強い言葉で非難する こんなに薄っぺらいセリフが他にあるだろうか」「気持ちが入らない、口だけ」といったコメントもSNS上に寄せられている。
「言い方は悪いかもしれませんが、北朝鮮は岸田首相の苦境をあざ笑うかのようにミサイルを発射してますよね。まさに弱り目に祟り目で、岸田首相が任命した大臣がきちんと仕事をしていれば、ここまでカッコ悪い印象ばかりが残ることはなかったのではないでしょうか。外遊などで良い面を見せようとはしているのでしょうが……。
岸田首相が大臣を罷免するにしても、国会で説明するときには、原稿を棒読みで読み上げているだけです。自身が任命した大臣なのですから、辞めさせるときに“悔しい”などといった感情を出したら、心象も変わるのではないでしょうか」
支持率の低下、3人もの大臣を罷免、統一教会問題など逆風が吹き荒れる岸田内閣だが、支持率が下がった内閣は、最終的にはどうなるのだろうか。
「森喜朗元首相のケースでは、2001年4月の内閣支持率が9%と1ケタを記録しました。当時は直後に参議院選挙という国政選挙があったので、自民党の内部から森元首相が選挙に悪影響を及ぼすのでは、という声があがり、森元首相自身も“自分がいると党にマイナスになる”ということで辞職しました」
■“黄金の3年間”を謳歌するはずが……
その一方で岸田首相は、森元首相のように退陣を迫られるようなこともなさそうだ。有馬氏によると、「自民党内部に岸田首相の次の総理大臣を務められる人材がいないのと、国政選挙がないこと」が重要なポイントになるという。
「岸田首相は、衆議院解散がない限り、3年間国政選挙を行わずに済む“黄金の3年間”を手に入れたはずでした。ですが、7月8日に安倍晋三元首相が亡くなり、その直後の7月10日の参議院選挙はなんとか自民党が多数派を維持しましたが、統一教会問題が明るみに出て支持率が低下。2023年の春に統一地方選挙が行われる予定ですが、候補はあくまで“自民党系”であり、自民党に所属しているわけではない。“国政選挙ではない”という理屈で、自民党が支援する候補が大敗しても、岸田首相のせいと明確に言えません。
ですから、岸田首相は何としてでも粘って、絶対に辞めず、ズルズルと低空飛行を続けると思います。今のところ2023年5月に広島県でG7のサミットが開かれる。そこでホストとして、岸田首相の颯爽とした姿を見せられれば支持率も上がるのでは、と考えているのではないでしょうか」
緩やかに下降線を辿る内閣支持率。森元首相の9%という1ケタ支持率まで落ち込んでも、岸田首相は辞めることはないのだろうか――。
有馬晴海(ありま・はるみ)
政治評論家。リクルート入社後、1985年に国会議員秘書に転身。その後、永田町の人脈を生かして政治評論家として独立。テレビ、ラジオ、ネットメディアで幅広く活躍しており、『サンケイスポーツ』にて『有馬晴海の突撃!永田町』を連載中。