イタリア・トスカーナの温泉で発見された2300年前の24体のブロンズ像
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ここ数年、イタリア、シエナ郊外にある古代の温泉跡の発掘が行われていた。先月、泥水の中から正体不明の小さな破片がのぞいているのが見つかった。
そこから、次々と手、肘、かすかに光るコインが現れ、最終的に、およそ2300年前にさかのぼる24体の完全なブロンズ像が姿を表した。ほかにも埋もれていた何千ものコインや見事な遺物が出てきた。
これはまさに画期的な発掘で、エトルリアからローマへと移行していった時代のブロンズ像の堆積としては過去最大で、地中海全体でももっとも重要なもののひとつだという。
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Nuove scoperte - Le statue di bronzo di San Casciano dei Bagni
・エルトニアからローマに支配が移行する激変の時期の遺物
温泉で有名なシエナの丘の上の小さな町、サン・カシャーノ・デイ・バーニでのこの発見は、まさに画期的なことだと、発掘リーダーの歴史家ヤコポ・タボーリ氏は語る。
これら像が作られたとされる紀元前2世紀から紀元1世紀の間は、トスカーナの歴史が大きく変動した時代だった。
エトルリアからローマへと支配が変わり、町をめぐって激しい戦闘が繰り広げられていた。
最終的にローマ人が勝利してから、エトルリア文化を再評価、最小化するための集中的な活動が行われ、歴史的アイテムを埋めたり破壊したりした。
そうした像の中には、ヒュギエイアやアポロなど、ギリシャ=ローマの神々の像があった。
ラテン語とエトルリア語の碑文が書かれていたり、エトルリアの有名な家系の名前が彫られたものもあった。
「この発見は、古代芸術の歴史を書き換えます」とタボーリ氏は言う。「ここで、エトルリア人とローマ人が一緒に祈りを捧げていたのです」
タボーリ氏は、像がある種の儀式のために温泉の中に沈められたと考えている。「水の中になにかを捧げたのは、水がなにかを報いてくれると期待したからでしょう」
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温泉が古代の像を保存するのに役立った / image credit:the Italian Ministry of Culture
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イタリア、シエナ地方サン・カシャーノ・デイ・バーニの発掘現場
・温泉がブロンズ像を良好な状態で保存してくれた
像が温泉に沈められた真の理由ははっきりはわからない。だが、温泉が像を良好な状態で保存するのに役立ったことは確かだ。
泥が酸素のない環境を作り出し、そのためブロンズ像が微生物から守られたのだと、ピサ大学の考古学者ヘルガ・マイオラーノ氏は語る。
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2300年前にさかのぼるふたつのブロンズ像の頭部
シエナ大学の考古学者、キアラ・フェルモ氏は、こう語る。「これは、全身を宝石で飾られた女性像で、非常に精巧なネックレスとイヤリングをつけています。当時の女性がこうしたいでたちをしていたに違いないというひとつの例です」
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この地域の温泉は、5世紀まで使われていたが、キリスト教の新たな規則によって禁止されてしまった。
これらブロンズ像やその他の発見物は、近くのグロッセートにある復元研究所に運ばれている。最終的に、サン・カシャーノにオープン予定の新たな博物館で展示される予定だ。
References:Archaeologists Find 24 Bronze Statues, Preserved in Tuscan Spa for 2,300 Years | Smart News | Smithsonian Magazine / written by konohazuku / edited by / parumo
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