「野心」はなぜ野の心?その語源は中国古典『春秋左氏伝』から (1/3ページ)
よく「あいつは野心家だ」などと言いますが、野心(やしん)って何でしょうか。その用例を見ると出世欲や権力欲など、よく言えば上昇志向、悪く言えば分不相応な望みがイメージされます。
それはともかく、どうして野の心と表すのでしょうか。ちょっと気になったので、調べてみました。
今回は野心の語源について、雑談のネタなどに知っておくのも一興でしょう。
生まれたばかりの赤子を前に……野心という言葉が登場するのは、古代中国の『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』。
孔子(こうし。B.C551?生~B.C479没)がまとめたと伝わる書物で、西暦にして紀元前700年ごろからおよそ250年にわたる魯(ろ)国の歴史が綴られています。
その第十巻・宣公(せんこう。在位B.C608~B.C591)の時代に、こんなことがありました。
……楚司馬子良生子越椒。子文曰必殺之。是子也熊虎之状面豺狼之聲。弗殺必滅若敖氏矣。諺曰。狼子野心。是乃狼也。其可畜乎……
※『春秋左氏伝』巻十宣公(四年)より
【読み下し】楚の司馬子良、子越椒を生む。子文曰く、必ず之(これ)を殺せ。是の子や、熊虎(ゆうこ)の状にして豺狼(さいろう)の声なり。殺さずんば必ず若敖(じゃくごう)氏を滅さん。