すわっ、乱心か!?家康の命を救った「鬼作左」本多重次のエピソード【どうする家康】 (2/3ページ)
もうずっとこんな押し問答が続いており、さすがは頑固で知られた三河者の総大将よと呆れるばかり。
「左様にございますか……ならば、仕方ありませんな」
え、説得を諦めちゃうの?その苛烈な性格と強面から「鬼作左(おにさくざ)」の二つ名で知られる作左衛門にしてはずいぶんアッサリした反応です。
「然らば御免!」
すっくと立ち上がるや踵を返し、スタスタと出て行ってしまった作左衛門。襖をピシャリと閉めて去っていきます。
「……ふん、別に引き留めて欲しかった訳じゃないわい。あぁ痛てて……」
ちょっと寂しかったのかどうだか、なおも苦しみ続けていると、足音がドカドカと迫ってきました。
「御免!」
やって来たのは作左衛門。今度は白装束に着替え、手には抜き身の脇差を持っています。
「すわっ、乱心か!?」
まさかこれ以上家康が苦しまぬよう、トドメを刺そう(いっそ楽にしてやろう)と言うのでは……血の気が引いた家康の傍らに、作左衛門は腰を下ろしました。
「御屋形様があたら御命を捨てられるとあらば、この作左衛門、冥途のお供せぬ訳には参りませぬ。今ここで腹を切り申すゆえ、今生の暇乞いを申し上げる!」
そう言って着物を脱ぎ捨て、いよいよ腹をむき出しに。
「誰ぞ、介錯を願おう!」
このまま止めなければ、作左衛門は本気で腹を切るでしょう。そのことは、家康の初陣いらい命を惜しまず戦い続けてきた、傷だらけの身体が物語っています。