40人の食人一族が住んでいた「ソーニー・ビーンの洞窟」 (2/3ページ)

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彼の一族に関する逸話はロンドンのニューゲート監獄の犯罪カタログ『The Newgate Calendar』に掲載されたものが広く出回っており、これを参考に紹介されることが多い。

 ビーン一族を取り上げた書籍は1843年に刊行されたジョン・ニコルソンによる著書が初出とされている。この本の記述がドロシー・セイヤーズによる「発見、謎、恐怖の短編小説」(Gollancz、1928年)に掲載され英国でベストセラーになったことで一気に広まったとみられている。

 だが、2005年のSean Thomasによる研究では、ソーニー・ビーンが活発に活動していた時代の新聞や日記などの歴史的文献を調べてみても、何百人もの人々が絶え間なく失踪しているにもかかわらず、誰も事件に言及していないという結論が出ている。

 ソーニー・ビーンの伝説は、15世紀初めに登場したクリスティー・クリーク(Christie-Cleek)の物語によく似ているという指摘がある。

 クリスティー・クリークも殺人鬼で、14世紀半ばにスコットランドで深刻な飢饉が起きたことをきっかけに人を襲うようになったとされる人物だ。

 その話を元に、反乱を起こしたスコットランドを非難するため政治的プロパガンダとして作られたのではと考えられている。

 また、歴史家であるNathaniel Crouchが1696年に出した著書"Richard Burton"には、ジェームズ2世が死ぬ1年前である1459年に起きたショッキングな事件が記載されている。

 それによると、ある泥棒が妻と子どもたちと共に、貴族の敷地内に入り込んで密かに暮らしていた。彼らは人を襲い食人行為もしていたとされており、捕まった際も彼らの子どもは悪びれることなく「人肉の味がどれだけおいしいものか知っていたら、あなたたちも食べるのをやめなかっただろう」と述べたという。

 これらの事件と政治的なプロパガンダから生まれたものが食人一家ソーニー・ビーンとその一族の伝説だったのではないかとみられている。

 ちなみに、現代ではソーニー・ビーンの一族が住んでいた洞窟は観光地にもなっている。だが、洞窟につながる下り坂は非常に危険で、注意が必要だそうだ。

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