「志村けん師匠が食べていた黒にんにくを」桑野信義が登場「麻美ゆまのあなたに会いたい!」(後編)

日刊大衆

桑野信義(左)ち麻美ゆま
桑野信義(左)ち麻美ゆま

 前回に続いて、トランペット奏者でコメディアンの桑野信義さんとの対談です。ステージ3b(リンパ節に多数転移するなど、ステージ3の中でも深刻な状況)の大腸がんと宣告されて、2021年2月に手術。切除に成功したものの、その後の抗がん剤治療がつらくて、自ら「治療をやめる」と決意された桑野さん。著書『がんばろうとしない生き方 大腸がんになって見つけた笑顔でいる秘訣』(KADOKAWA)では、闘病生活の中で“がんばろうとしない生き方”に気づいたと語っていらっしゃいました。その意味を詳しく聞いてみました。

ゆま「私も10年前に、卵巣に境界悪性腫瘍が見つかって、抗がん剤治療。そして、手術で切除を経験していますが、そのときに、桑野さんのように“がんばろうとしない生き方”を知っていればと思いました」

桑野「実際は俺も闘病を始めたときは、コロナ禍で延期になっていた『シャネルズ』の40周年ライブに参加したいという目標があったから、頑張れたんだよね。でも、ツアー初日に間に合わないことが分かって、肉体的にも精神的にもキツくなったんだ。特に、手術をした後が厳しくてね。全身を管につながれて、寝返りも打てない。体中が痛いし、吐き気もひどくて苦しい。目標もなくなってしまった……正直、地獄だったよ」

ゆま「目標がなくなるのは、しんどいですよね」

桑野「そうなんだよ。そんな中で、やっと気づいたんだよ。何をしたって痛いものは痛いし、苦しいものは苦しい。“もう、どうにでもなれ!”って開き直ったんだよね。すると、急に楽になったんだよ。下手に抵抗することをやめたら、ス〜ッと痛みも苦しみもなくなったんだよね。ほんと、気持ちの問題(笑)」

ゆま「そう思えるのって、簡単なようで難しいですよね。どうしても闘病中は、“早く治して復帰したい”とか“自分の頑張りが足りないから、ダメなんだ”とか考えちゃうんですよね」

桑野「うん、分かるよ。でも、そこを思い切って、“俺はもう頑張らない!”と腹を決めちゃうんだよ。けっして諦めたわけじゃないよ。矛盾してるようだけど、諦めていないから頑張らない。そういうふうに考えると気持ちも前向きになって、自然と笑顔もこぼれるようになるんだよね」

ゆま「すごくいい話です。闘病生活に限らず、生きている中で、どうしても苦しいことがあったとき、頑張らないと開き直ることは大事なのかもしれませんね」

桑野「ある意味、俺は病気になって、良かったと思っている。考え方も180度変わったからね。もちろん、生活スタイルも変わった。それまでの俺は、毎晩、飲み歩くだけでなく、朝は朝食にアイス、昼は揚げ物に弁当、夜はコンビニ弁当2つ食って、寝る前にはカップラーメン。そんな、メチャクチャな食生活を送っていたからね」

ゆま「アハハ。それは確かにヤバすぎますね。今は、どういう食生活ですか?」

■免疫力アップには、志村の大好物!

桑野「毎日、スムージーを作っているし、昔は嫌いだった“黒にんにく”も今は欠かさず食べているよ。カラスの行水だった風呂にも、しっかりつかっているよ。体の中を温めることも免疫力を上げるらしいからね」

ゆま「ちゃんと健康に気をつけていらっしゃるんですね。がんの再発を防ぐには、免疫力を上げるのが一番と聞くので、ネットとかで調べるんですけど、その方法も、たくさんありすぎて」

桑野「自分に合うもの、自分ができることを選べばいいと思うよ。それで再発したら、もう、しょうがないだろ(笑)」

ゆま「そうですよね! 今、お話の中に“黒にんにく”が出てきましたけど……にんにくといえば、舞台『志村魂』の楽屋に、いつも置いてありましたね」

桑野「うん。師匠は、ずっと、にんにくを食べていたよね。当時は俺、にんにくが嫌いだったから一切、手をつけなかったけど」

ゆま「これはなかなか聞きづらかったんですが、志村さんが亡くなられて、もう3年になります。正直、その事実をずっと受け入れられないでいたんですが、3年もたったから、最近、少しずつ受け入れなきゃと思うようになっているんです……。桑野さんは、どうですか?」

桑野「俺は師匠が亡くなったことは、まだ認めていないんだよ。最後に会ったのが『バカ殿』(フジテレビ系)の撮影でね。打ち合わせして本番やって……それが最後だから、師匠はまだ、城下で飲んでいるんじゃないかと思っている」

ゆま「そうだったんですね……私なんかより、桑野さんのほうが、おつきあいもずっと長いですもんね」

桑野「志村さんが冠番組を立ち上げたときからのつきあいだからね。『バカ殿』の家老に指名されたのも31歳のときだから、人生の大半、師匠と一緒にいた感じだよ。毎晩のように飲み歩いてもいたからね」

ゆま「やだ、また、泣きそうになってきました……」

桑野「ハハ、今日は本当に会えて良かったよ。へたしたら、それこそ、あのまま会えていなかったかもしれないからな(笑)」

ゆま「私も会えて、よかったです。それにお話を聞けて、桑野さんは本当に強い人だなって思いました」

桑野「いやいや、がんになって実感したよ。ゆまちゃんは、こんなにつらいことを乗り越えてきたんだなって。たまには酒でも飲みに行こうよ……と言いたいところだけど、さすがに、無理だから、今度、一緒に抗がん剤治療でも受けにいかない?(笑)」

ゆま「アハハ!」(おわり)

くわの・のぶよし1957年4月4日、東京都生まれ。クワマンの愛称で親しまれる。1975年に、鈴木雅之らと『シャネルズ』を結成。その後、バラエティタレントとしても活躍し、『志村けんバカ殿様』(フジテレビ系)では、二代目家老役を務めた。
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