今なお日本を覆う「得体の知れない安倍的支配」の正体とは (2/3ページ)
2014年4月、「武器輸出三原則」に代わる新たな政府方針として「防衛装備移転三原則」を閣議決定したが、古賀氏は「防衛装備移転」は「武器輸出」に他ならないと述べ、さらなる武器輸出拡大がその延長線上にあることは明らかだと分析する。
岸田政権で爆発したかのように見える「異次元の軍拡路線」は、安倍政権時代にはほぼ決まっていたと古賀氏。経済優先から軍事優先へ、国のかたちが変わりつつある。そのことに対して「本当に国民は理解し、同意しているのか」と読者に問いかけている。
■「官邸が喜べば出世の道が開く」官僚のモラルハザード元官僚の視点から、官僚の劣化についても厳しく批判を加えている。
今、霞が関を取り巻いている問題が官僚の人材難であり、その背景にあるのが官僚のモラール(士気)の低下である。
優秀な人材が集まりにくくなっているだけでなく、若手官僚の退職も深刻化している。ブラックな職場や低い給与水準などさまざまな要因があげられているが、古賀氏はそれとは異なる視点――「官僚の倫理観」の崩壊に目を向ける。
古賀氏が幹部候補の中堅官僚二人に対する取材で、森友学園を巡る公文書の改ざん問題で自ら命を絶った赤木俊夫氏に関して「官僚の倫理観はどうなっているのか」と問いかけると、「あんなことは日常茶飯事です」と答えたという。二人によれば、中堅幹部クラスは皆、事務次官や大臣、官邸、声の大きい有力議員の方を向いて仕事をしている。しかもその内容は、政治家や役所の利益のためのものが非常に多いという。
森友学園問題で矢面に立たされた佐川宣寿氏は2017年7月に国税庁長官に昇任している。古賀氏はこの昇進に対して「霞が関のモラルハザードに拍車がかかった。安倍政権下では、国民や国家に奉仕するのではなく、総理・官邸に奉仕することがダイレクトに出世につながる。佐川氏の昇進は、それを証明したかっこうだ」(p.257より)とつづっている。
財務官僚だけではない。2021年9月に警察庁長官に就任した中村格氏は、安倍氏や菅義偉元首相と昵懇だったジャーナリストに逮捕状が出されたときに、それを取りやめるように指示をした人物で、当時は警視庁刑事部長。その前には菅官房長官の秘書官を務めていた。