【葉隠】武士は食わねど高楊枝…しかし生活苦で家臣が強盗、戦国大名・鍋島直茂かく語りき【前編】 (2/3ページ)
用之助立腹致し、刀をすはと抜き……
……馬十疋ばかり米を負うて通り申し候。用之助見て、「これは何処へ参り候や。」と申し候。百姓共承り、「下台所へ参り候。」と申し候。「さらば斯う参り候て我等所へ下ろし候へ。我等は齋藤用之助と云ふ者なり。役者衆へ引き合ひ申す米これある事に候。あちこち致すは其方共大儀にて候。手形は出し申す事に候間、これを庄屋に見せ候へ。」と申し候。百姓共請け合ひ申さず、直に罷り通り候について、用之助立腹致し、刀をすはと抜き、「一人もやるまじき。」と申し候について、皆皆手を立て断り申し候て、用之助所へ持ち越し、手形を取り罷り帰り候。……
※『葉隠聞書』第三巻より
「よう、暫く」
用之助は道行く荷駄を止めて、行き先を尋ねます。馬を曳いていた百姓らは「村の年貢米を、お城へ納めますだよ」とのこと。
「それは好都合。それがしは齋藤用之助と申す。米を集めるよう申しつかっておるゆえ、我が家へ運んでもらいたい」
「え?そんな指示は受けておりませぬ」
「いいから申す通りにせえ。一度お城へ運んでから、わざわざ我が家へ運ぶのは面倒であろう。我が家で手形を渡すゆえ、それを庄屋に見せれば問題ない。ささ、早うせぇ」
そんな事を言われても……百姓たちがなおも渋っていると、しびれを切らした用之助は抜刀して詰め寄りました。
「左様か。