【葉隠】武士は食わねど高楊枝…しかし生活苦で家臣が強盗、戦国大名・鍋島直茂かく語りき【前編】 (3/3ページ)
それがしの申すことが聞けぬならば、うぬら一人も生かして帰さぬ!」
あまりの剣幕に震え上がった百姓たちは平伏して米を齋藤家へ運び、用之助が偽造した手形をもらって引き上げます。
御僉議の上、死罪に相極り……
……用之助女房に申し候は、「米はこれ程沢山にあるなり。心まかせに使ひ候へ。」と申して罷り在り候。然る處、右の段相聞え、用之助御究めなされ候處、有体に申し出で候。御僉議の上、死罪に相極り、例の如く、「加州様へ御耳達し候様に。」と仰せ付けられ、当役の衆三の丸へ罷り出で、右の次第申し上げ候。……
※『葉隠聞書』第三巻より
「おう、戻ったぞ」
帰宅した用之助は、女房に馬十頭分の米を見せて言いました。
「米ならこの通り、いくらでもある。好きなだけ使うがよいぞ」
ドヤ顔の用之助に対して、女房は喜ぶどころか青くなってしまいます。いきなりこんな大量の米を持って来るなんて、ただごとではありません。
「あなた、一体何を……」
「案ずるな、大丈夫じゃ。これからはもう、そなたに苦労はかけさせぬ」
そんなことを言った矢先に、用之助は役人に捕らわれてしまいました。当たり前ですね。
僉議の結果、用之助は強盗(がんどう)の罪により死刑判決が下ります。気の毒とは言え、これまた仕方ありませんね。
「加州(かしゅう。加賀守=鍋島直茂)様へお伝えせよ」
齋藤用之助、これこれの次第につき死罪と相極まり候……藩主・鍋島直茂(なべしま なおしげ)の元へ報告が届きました。
【後編】へ続く
※参考文献:
古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、2011年1月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan