駅弁マニア金谷俊一郎「駅弁はその土地の名産が詰まっている“玉手箱”みたいなもの」麻美ゆまのあなたに会いたい!(前編)
今回の“あなたに会いたい”は、歴史コメンテーターとしてもおなじみ、東進ハイスクール・日本史講師の金谷俊一郎先生です。歴史のお勉強を習うわけではありません。実は金谷先生、“駅弁マニア”という裏の顔もお持ちなんです。もちろん、駅弁といっても体位のほうではなくて、駅で売っているお弁当のこと。金谷先生は全国津々浦々の駅弁、2000種類以上を網羅されているんです。私も食べるほうの“駅弁”は大好きですからね(笑)。さっそく、お話を聞きに行きました!
ゆま「金谷先生は、いつから駅弁が好きになったんですか?」
金谷「最初に駅弁と出合ったのは、予備校の講師になった頃でしたね。仕事で、長野県に出かけたんです。その電車の中で、隣の席にいた初老の女性と仲良くなりまして……。私が長野県に来たのが初めてだと話すと、“横川駅にある、『峠の釜めし』がおいしいですよ”と教えてくださったんです」
ゆま「わあ! おぎのやさんの駅弁ですね。私も食べたことがあります」
金谷「さすがです。ただ、当時の私は駅弁に魅力を感じていなかったんです。私は京都出身でして、関西の“アツアツ文化”で育ってきましたから」
ゆま「アツアツ文化?」
金谷「はい。関西人はアツアツの食べ物が好きなんです。たこ焼きしかり、お好み焼きしかり。だから、冷えたごはんのイメージがある駅弁にはひかれなかったんです」
ゆま「なるほど〜」
金谷「ところが、『峠の釜めし』はほんのりと温かくて、とてもおいしかったんです。これが駅弁との最初の出合いでした」
ゆま「そこから駅弁にハマられたんですか?」
金谷「そうですね。そこから駅弁を食べる機会が増えました。私は日本史の先生をしていますので、教科書に載っている史跡は全部、自分の目で見ておこうと、全国を回り始めたんです。そのときに各地の駅弁も食べるようになったんです」
ゆま「史跡巡りをしながら、駅弁も食べられるって、最高じゃないですか!」
金谷「おっしゃる通りで、史跡と駅弁の組み合わせが合うんです。駅弁というのは、その土地の名産が詰まっている“玉手箱”みたいなもの。自然と、風土や気候にあった食材ばかりを使っているので、その土地で食べるのが一番おいしいんですよね」
ゆま「私も駅弁巡りの旅をしたくなってきました!」
金谷「ハハハ。私なんかは、駅弁を買っても電車の中では我慢して、史跡に着いてから、それを眺めながら食べていました。駅弁のおいしさに夢中になりすぎて、史跡の勉強はほったらかしに……なんてことも多々ありましたよ(笑)」
ゆま「先生の駅弁愛がよく分かるお話ですね。今回、私が先生に一番聞きたかったのはズバリ、全国各地のおいしい駅弁です!」
金谷「いいですねー。たくさんありますけど、何から紹介しましょう」
■朝ドラから有名に!?20食限定の幻駅弁!
ゆま「まずは、週刊大衆の読者の方は男性が多いので、“男飯”的な駅弁から教えてもらいたいです」
金谷「それでしたら、まずは米沢駅(山形県)にある『米澤牛焼肉重松川辨當』です。名前の通り、米沢牛がたっぷり詰まった焼き肉弁当で、つけあわせの肉団子も、とてもおいしいです」
ゆま「すごい! 写真を見ると、お肉ぎっしりで、食べ応えがありそう。男性に限らず、女性も絶対、よだれが出ちゃいますね。食べたいけど、米沢駅まで行かないといけないのかぁ……」
金谷「実は、東京駅でも買えるんです(笑)」
ゆま「そうなんですか!? やったーっ!」
金谷「男飯でいえば、直江津駅(新潟県)にある、『磯の漁火』もオススメです。お酒に合う駅弁としても有名ですね」
ゆま「(駅弁の写真を見て)何、これ!? 貝殻丸ごとのサザエに甘エビ、モズク煮もある。海鮮だ!」
金谷「モズク煮にはカニをほぐした身も入っているんです。まさに酒飲みのための駅弁で、日本酒と、とても合うんですよね~」
ゆま「新潟県って日本酒の名産地でもありますもんね。電車の中で、新潟の地酒を飲みながら、地元の海鮮が詰まった駅弁を食べるなんて、最高のぜいたくですね」
金谷「ええ。さらに、このお弁当には、梅干しと鮭のおにぎりが2つ入っていまして、これがまた、いいんです。もともと駅弁のごはんはギュッと詰めてあって、密度が濃いんですよね」
ゆま「言われてみれば、ごはんがぎっちり入っていますね。それが、おにぎりになっているとなれば、なおさら密度も濃い?」
金谷「そうなんです。しかも、新潟のお米を使ったおにぎりですからね」
ゆま「くぅ~!」
金谷「新潟県の駅弁では、新津駅の『数の子ずし』や『エンガワ押し寿司』も絶品です」
ゆま「先生! 先生の本『駅弁と歴史を楽しむ旅 ベスト100食、美味しい史跡めぐり』(PHP新書)から、私が一番食べたい駅弁を見つけました。これです!」
金谷「おおっ。三陸鉄道・久慈駅の“うに弁当”ですね。NHK朝ドラ『あまちゃん』でもおなじみで、今はどうか分かりませんが、1日20食限定で売られていたこともあり、幻の駅弁と言われています」
ゆま「白いごはんが見えないほど、うにで埋め尽くされています。先生は、食べたことありますか?」
金谷「もちろんです。うに尽くしで、中のごはんも、うにの出汁で炊き込まれていて、大変おいしいです」(次号につづく)
かなや・しゅんいちろう 1967年11月20日、京都府生まれ。歴史コメンテーター。東進ハイスクール・東進衛星予備校日本史講師。駅弁マニアとしても活動。