日本語JAZZ歌手深川隆成、チャーリー・パーカー未発表曲などの新アルバムをリリース (2/3ページ)
ビリー・ホリデイの遺作『Left Alone』はじめ、チャーリー・パーカーが最初に作詞・作曲で最初の妻にあてたとされる歌詞の『What Price Love?』(後に歌詞を外して演奏のみでレコーディングしたYardbird Suite)などの名曲を深川独自のオリジナルアレンジで歌い上げる。その中でも、チャーリー・パーカーが最後にレコーディングした1953年から1955年3月に他界するまでの二年弱の間に書き遺した楽譜のみの未発表曲をチャーリー・パーカー全曲集『Charlie Parker Composer』(Oxford社刊)から見出し、1954年作曲の『Yashitaki Mikimoto』と1955年作曲『Tail Feathers』に日本語歌詞を作詞して、チャーリー・パーカーの死後、約70年ぶりに光を当てる事となった。
特に、『Yashitaki Mikimoto』は、チャーリー・パーカー存命時に当時唯一日本だけが真珠の養殖に成功しており、その中でも特に世界の宝石界を席巻していた御木本真珠のオーナー御木本美隆(ヨシタカ)の事であると思われ、アメリカ人が母音が続く日本人の名前を上手く言えずにコバヤシをコビヤシなど、母音を離して子音に変える口語表現をそのまま曲名にした、言語学的にも興味深い、当時の歴史を垣間見えるものと思われる。尚且つ、この『Yashiutaki Mikimoto』は、戦前戦後に日本の街角に流れていたような抒情歌的な雰囲気を醸し出したチャーリー・パーカーらしからぬ、オリエンタルなムードの曲となっている。恐らく、チャーリー・パーカーが当時の日本の音楽に対するイメージを体現したものを思われる。とはいえ、チャーリー・パーカーらしいところは、1コーラス16小節のこの曲の休符が後半に8部休符が一つあるだけで、和風なメロディーながら日本の歌にところどころある休符が全くない曲となっている。サックスであれば、吹きっぱなし、歌でいえば歌いっぱなしという難曲である。深川隆成は、これを和風ながらスイング感も含めた一筆書きの様に息継ぎなしで歌い切って聴く側を疲れさせずに軽やかに歌い切っている。これにより、チャーリー・パーカーが生前、日本に対して思い描いていた印象を楽譜に収めていた未発掘の曲を世に出すこととなった。