「ワイロは渡しますから……」万葉集の歌人・湯原王が神様にした、まさかのお願いごととは?
「試験に合格しますように」「健康でいられますように」「好きな人が振り向いてくれますように」などなど、私たちは日ごろから様々なお願いをしているのではないでしょうか。
自分も努力はするけれど、神様の力を借りたいと思うときだってありますよね。それは、はるか昔の万葉歌人も同じだったのかもしれません。
今回は、驚くべきお願いが詠まれた歌をご紹介したいと思います!
ご紹介する歌とは……今回ご紹介する歌は、万葉集のうち、巻の6、985番の歌です。
「天(あま)にます 月読男(つくよみをとこ) 幣(まひ)はせむ 今夜(こよい)の長さ 五百夜(いほよ)継ぎこそ」
というものです。
「天(あま)にます」は「天にいらっしゃる」、「月読男(つくよみをとこ)」は月読尊を指し、月の神、神話では天照大神の弟です。「幣(まひ)」とは贈り物・お供え物・謝礼として奉るものといった意味があります。分かりやすくするため、ワイロと訳しても良いでしょう。
そして次が作者が月の神にしたお願いごとの部分です。「今夜(こよい)の長さ」はそのまま「今夜の長さ」、「五百夜(いほよ)」は読み方こそ難しいですが、漢字のとおりで意味は「500夜」です。最後の「継ぎこそ」は「つなげてください・延ばしてください・続けてください」という意味です。
そのため、全体の現代語訳としては「月にいらっしゃる神様。贈り物はします。今夜の長さを500夜分もつなげてください」といったところでしょうか。500夜も続いてほしいとは、どれだけ素敵な夜だったのでしょうか。
この歌の作者は……こんなロマンチックな歌を詠んだのは、湯原王(ゆはらおう/ゆはらのおおきみ)です。奈良時代の貴族・歌人であり、志貴皇子の子・天智天皇の孫でした。
なお、上記の歌は彼が女性目線で詠んだとも言われています(前後の歌から、男性同士の歌とも考えられています)。
ちなみに湯原王は、万葉集に他にも歌が収められています。例えば、妻を持っていた湯原王が若い女性にアプローチしているというもの。万葉集から、奈良時代のさまざまな恋愛の形が見て取れますね。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
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