日本でイノベーションはなぜ起きない?その本当の理由 (2/4ページ)
それは、本の中で鈴木さんも指摘されていましたね。
鈴木:ええ、本の中で1989年と2023年の時価総額ランキングを比較しているのですが、1989年時点ではトップ50のうち30社以上は日本企業だったんです。それが、2023年には1社もランクインしていません。バブル崩壊後の「失われた30年」がよくわかるランキングになっています。
――1989年のランキングではトップ10に日本の金融機関が4社入っていたのですが、2023年のランキングには入っていません。一方でアメリカや中国の金融機関はランキングに入っています。日本の金融機関の凋落はなぜ起きたのでしょうか?
鈴木:金融工学を駆使した新しいファイナンスのスキームを海外の金融機関はものすごい勢いで開発し、稼ぐしくみを整えているのと比べて、日本の金融機関はこの分野での立ち遅れが目立っているのが実情です。
アナログからデジタルへの移行が進んでいない業界でIT人材が少ないですし、世界のトップクラスのイノベーション人材が入ってくるわけでもない。そういった要因から成果が出せなくなっているということはいえると思います。
――本書で鈴木さんは日本経済の「失われた30年」を総括されています。当初「失われた10年」と呼ばれていたものが20年30年と伸びていってしまった原因について、鈴木さんのお考えを改めてお聞きできればと思います。
鈴木:さまざまな原因があると思います。政府の政策が後手に回ったこともありますし、企業もデフレ環境から脱却できませんでした。
ただ、政府の政策や市場の変化を要因として挙げる経済学者はたくさんいますが、それは私の役割ではないと思っています。こうした外的要因がありながらも個人や企業レベルで何ができるのかを考えてこの本を書きました。
というのも、「失われた30年」は、経済が低成長だった30年ということだけではなく、イノベーションが生まれなかった30年でもあるからです。個人や企業に着目するのであれば、日本の凋落を防ぎ復活させるために打つ手はたくさんあります。