日本でイノベーションはなぜ起きない?その本当の理由 (3/4ページ)
私がこの本で提唱しているのは新しい切り口で、「宝の持ち腐れ」になっている知財を生かしてイノベーションを起こし、新しい価値を生み出しましょうということです。
――日本は新しい産業を生み出せていないこと、イノベーションを起こせないことなどが指摘されています。これは知財の活用が十分にできていないことと関係があるのでしょうか。
鈴木:あると思います。イノベーションには3段階あって、1段階目は技術やアイデアを生み出す段階なのですが、ここは日本は得意なのです。それがよくわかるのが特許の件数で、日本は中国、アメリカに次いで世界3位です。
――イノベーションを起こすための下地はあるわけですね。
鈴木:その通りです。ただその技術やアイデアをサービスや商品に置き換えて「稼げるネタ」として市場に出していく、という2段階目と、ビジネス上の対価を獲得するという3段階目が弱い。
この3段階がすべてそろって初めて一つの産業が生まれるのですが、アイデアや技術を生かすことができなかった結果、日本を引っ張っていくような新しい産業を生み出すことができなかったというのがこの30年だったのだと思います。
――なぜ日本はイノベーションの土台となる技術やアイデアはあるにもかかわらず、それを使って新たな価値や産業を生み出すのが苦手なのでしょうか。
鈴木:企業やそこで研究をする研究者に「バックキャストの思考(最初に目標とする未来像を描き、その未来像を実現するための道筋を未来から現在へさかのぼって考えること)」がないからだと思います。
たとえばアップルが20年後、30年後にこういう社会を作っていきたいから、今のうちにこういう研究開発をやろうという視点で開発テーマを設定しているのに比べて、日本は先輩から引き継いだ研究テーマをそのままやっていたりするわけです。どうしてかというと、その方が組織側は主従関係を作りやすいですし、先輩が後輩の研究成果についてレビューしやすいんですね。