明晰夢の中で聞いた曲を現実世界に持ち出すことに成功、夢の録画再生が可能な未来へ
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夢の中は基本自由だ。空も飛べるし動物と会話だってできる。あの楽しかった夢を録画して、もう一度見てみたいと思ったことはないだろうか?
その夢が明晰夢(めいせきむ)なら、近い将来かなうかもしれない。
明晰夢とは、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことで、自分の思い通りにコントロールすることさえできる。
新たな研究で「明晰夢(自分で夢であると自覚しながら見ている夢)」の中で耳にした音楽を現実世界に転送する技術の実証実験に成功したそうだ。
夢の世界は独創的なアイデアであふれている。そうしたアイデアを現実に持ち帰ることを可能にした技術は「筋電図」を利用したもので、音楽家やクリエイティブな職業の人たちに大きなインパクトを与える可能性があるという。
・夢だと自覚しながら見る「明晰夢」
「明晰夢」は、夢を見ながらも、そこが夢の世界だと自覚しており、その中で起きていることを自分の意思でコントロールすることも可能だという。
これまでの研究によれば、明晰夢は「レム睡眠(急速眼球運動睡眠)」と大きく関連していることがわかっている。
また明晰夢を見ているとき、脳内の前頭前皮質・楔前部・後頭側頭皮質・楔部・頭頂小葉などが活発になること、さらには前頭前皮質にある灰白質の容積や脳の結合が関連していることも知られている。
明晰夢の素晴らしいところは、それを現実世界をうまく生きるヒントにできるかもしれないことだ。
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・夢で聞いた音楽を現実に持ち帰りたい
たとえば、夢の世界で耳にした音楽を、そのまま現実に持ち帰ることができたらどうだろう?
夢の中の出来事は奇抜で、普段なら想像もしないようなことが平気で起こる。
そこで流れる音楽だって、きっと今まで聞いたこともない独創的なメロディなはずだ。それを現実の曲作りのヒントにできるのなら、こんなにスゴいことはない。
今回、それを実現する技術の実証実験に成功したのが、米カリフォルニアを拠点とするスタートアップ「REMspace」社だ。
創業者で、ドイツのロックバンド「ラムシュタイン」の大ファンだというマイケル・ラドゥーガ氏によれば、彼が思うバンドの最高傑作は夢の中で聞いた楽曲なのだという。
間違いなくバンドの最高傑作でした。でもそれは現実には存在しない曲なのです。
この出来事は、私が脳の力に気づくきっかけとなり、それ以来、明晰夢のメロディをどうやったら現実に持ち帰れるのかと考えるようになりました
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・筋肉の動きで夢のメロディを現実世界に転送することに成功
ラドゥーガ氏のアイデアは「筋電図」を使うというものだ。
体の筋肉が縮むとき、そこには電気的なシグナルが発生する。筋電図はこれを検出する装置で、眼球の動きや寝言など、夢を見ているときの体の動きを調べるためによく使われる。
そこで、筋肉の動きを音楽アプリに連動させることで、筋肉の動きで演奏できるようにするのだ。
たとえば、明晰夢の中でクイーンの往年の名曲『We Will Rock You』が聴こえてきたとしよう。
これを現実世界に転送するには、イントロのドンドンパッというリズムに合わせて腕の筋肉を動かせばいい。
すると筋電図がその動きを検出し、それをアプリが録音してくれる。目が覚めてから録音されている曲を再生すれば、見事夢の中の曲を現実に持ち出すことができる。
このアイデアを確かめるため、ラドゥーガ氏らは明晰夢を見るという人を集め、事前に腕の筋肉の動きでクイーンの『We Will Rock You』のイントロを練習してもらった。
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Queen - We Will Rock You (Official Video)
それから被験者に眠りについてもらい、明晰夢をコントロールしてもらい、夢の中でドンドンパッのリズムを演奏してもらった。
この実験はあくまで事前に覚えた曲を夢の中で演奏するというものだが、これができるのならば、夢の中で聴こえてきた曲を眠りながら演奏して、現実世界に転送することだってできるはずだ。
今回の実験では、筋電図・脳波・眼電図などで被験者の眠りをモニタリングしている。
そして実際に明晰夢を見ていたことが確認されたのは7例。そのうち6例で被験者は眠りながらWe Will Rock Youのリズムを演奏することに成功したという。
ただし、筋電図のシグナルが弱すぎたために、演奏されたリズムをアプリで検出できたのは3回だけだったそうだ。それでも、このアイデアが実際にうまくいくだろうことは見事証明された。
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Transferring of music from lucid dreams into reality・夢の中のアイデアを持ち帰れる未来
今回はアイデアの実現可能性を証明することが目的だったので、ドンドンパッというシンプルなリズムの転送が試みられた。しかしラドゥーガ氏は、もっと複雑なメロディを演奏することもできるという。
それよりむしろ問題なのは、明晰夢をどうやって見るのかという点であるそうだ。この技術がどんなに優れていても、明晰夢を見る方法がわからなければあまり意味がない。
それでも今回の成功は、ミュージシャンやクリエイティブな仕事をしている人々に大きなインパクトを残すかもしれない。夢の中から直接アイデアを持ち帰れる可能性が出てきたからだ。
「遅かれ早かれ、誰でも夢の中で独創的な音楽を見つけて、その場で録音できるようになるでしょう」とラドゥーガ氏は語る。
それどころか、この方法はいずれ人類がAIに対抗するための強力な武器になるかもしれない。
将来的には、人間の潜在能力を活用するこのアプローチで、人工知能に対抗できるようになるかもしれません。この研究は『Dreaming』(2023年)に掲載された。
どんな人間にも独創的な可能性が秘められています。それは潜在意識の中に隠されているのです。それを手に入れる鍵が明晰夢なのです
References:Lucid dreamers transmit musical melodies from dreams to reality in real-time in groundbreaking study / written by hiroching / edited by / parumo
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