最初は謎に包まれていた!?人気のシフォンケーキが日本で発展していった経緯をたどる

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最初は謎に包まれていた!?人気のシフォンケーキが日本で発展していった経緯をたどる

アメリカ発の「謎ケーキ」

皆さんはシフォンケーキはお好きでしょうか? ふんわりとして食感も軽く、とても食べやすいシフォンケーキは洋菓子が好きな人なら一度は食べたことがあるでしょう。

シフォンケーキと紅茶のセット

シフォンケーキが日本に伝来したのは1980年代頃といわれています。アメリカンホームメイドケーキ専門店がシフォンケーキを販売して以降、日本でもシフォンケーキは大人気になりました。

1990年代には多数のシフォンケーキレシピ本が出版され、家庭でも作られるようになります。

つまり、シフォンケーキの本場はアメリカということです。具体的に誰が考案したのかもはっきりしています。

シフォンケーキが作られ始めたのは1927年のことです。ロサンゼルスの料理愛好家であるハリー・ベーカーが、バターを使わず卵白・小麦粉・砂糖で作るスポンジケーキ「エンジェルフードケーキ」をヒントに発明したのです。

シフォンとは絹織物のこと。食感の軽さからそのケーキはシフォンケーキと呼ばれるようになり、各界で高評を博します。しかし最初の20年間はレシピを公表しなかったため、材料も作り方も謎に包まれていました。

それが1947年、レシピが大手食品会社に売却され、一気に書籍やラジオで知れ渡ることになります。シフォンケーキの最大のポイントとなる材料は「サラダ油」でした。

サラダ油(イメージ)

こうしてアメリカでは、1940年代後半から1950年代にかけて大きなブームになります。このため、一時的に小麦粉とサラダ油は大きく売り上げを伸ばしたとか。

日本に紹介される

さて、そんなシフォンケーキが日本でも普及する大きなきっかけになったのは、愛知県で洋菓子の製造販売を手がけている株式会社フレイバーユージの代表者・岩田有司氏です。

彼はカリフォルニアでのホームステイ中にシフォンケーキのレシピを入手し、それを日本人の口に合うように改良します。そしてオリジナルレシピとして紹介・販売したことで、たちまち日本でも大人気となったのです。

大げさな話ではなく、私たちが現在、おいしいシフォンケーキを作ったり食べたりすることができるのは、この岩田氏のおかげだと言ってもいいでしょう。

さて、次にアメリカと日本のシフォンケーキの違いを見ていきましょう。シフォンケーキ自体は大変シンプルなので、本場のアメリカではさまざまなトッピングやデコレーションがされています。

例えば、トッピングとして人気なのはフルーツやクリーム、チョコレートなどです。また外側にクリームを塗らずに、中身が見えるようにデコレーションするネイキッドケーキ風のデコレーションを好む人も多いようです。

表面をクリームで覆わないネイキッドケーキ風シフォンケーキ

では日本はどうでしょうか。

米粉や抹茶なども使われる

日本でも、有名専門店のものを始めとする個性豊かなシフォンケーキがたくさん販売されています。特に日本の場合は、本場であるアメリカよりもポピュラーな洋菓子だと言えるでしょう。

国産米粉100%のシフォンケーキ専門店では、お米のもつ独特な甘みと、もっちりフワフワとした食感が特徴的なものを作っていることがあります。

また消費者の健康志向を受けて、添加物を極力使わずに作った体に優しいシフォンケーキなども独特のものです。他にも、生地に刻んだ果物やクルミなどを加えたり、水の代わりに紅茶や抹茶、ジュースを用いたりするという作り方もあります。

抹茶のシフォンケーキ

もともとシフォンケーキはシンプルで体にも負担がかからないので、必要に応じてトッピングやデコレーションをどこまで工夫できるかが勝負とも言えるでしょう。アメリカ発のこのケーキは、いわばこうした「勝負」をくぐり抜けて、日本でも発展してきたのです。

参考資料

天満紙器 パティシエWiki Yuji’s Home Kitchen

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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