ウマみたいな顔してるだろ、でもコウモリなんだぜ。UMA伝説の元になった「ウマヅラコウモリ」
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コウモリは世界に約970種存在するといわれており、哺乳類の約20%を占めている。その種類も多種多様で、中にはユニークな種も存在する。
最近話題になっていたのは、まるでウマのような顔をしたウマヅラコウモリだ。と言ってもウマヅラなのはオスだけだ。性的二形なのでメスとオスでは顔つきもサイズ感もかなり違う。
翼を広げると1mにもなるオスは、そのユニークな姿からアメリカ伝説のUMA「ジャージー・デビル」のモデルになったともいわれている。
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Meet The Bat With Hammer Head |・馬そっくりの顔をもつウマヅラコウモリ
コウモリは種によって犬によく似たタイプもいるが、こちらのウマヅラコウモリ(Hammer-headed Bat)はその名のとおり、馬寄りの顔が特徴のオオコウモリ科のコウモリだ。
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image credit:AestheticPurrfection/reddit
ウマヅラコウモリはアフリカ大陸最大種のコウモリ。
体長20~30センチ、体重227~450グラムと本体はさほど大きくないが、翼を広げた時の長さはオスで最大約1メートルもあり、飛行速度は時速80~95キロとかなり速い。
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この種はオスとメスの見ためがかなり異なる性的二形で、馬に似た顔と巨大な鼻はオスの特徴だ。
オスの鼻が大きいのには理由がある。この鼻と体長の半分以上ある大きな喉頭を使って、大音量の鳴き声を出して、メスを引き寄せるのだ。
一方メスはオスより軽くて小柄。顔もオスより細く、馬よりキツネ似といわれる。なお平均寿命は雌雄ともに野生下で30年だそう。
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左から 馬に似てるオスとキツネに似てるメス/image credit:Jakob Fahr /inaturalist
・アメリカのUMAジャージー・デビルのモデル説も
とまあざっと上げても、脳がにわかにうけつけないほどのクセの強さだ。
もし予備知識ゼロでこのオスに遭遇したら、やはりこの世のものとは思えないんじゃなかろうか。まず真っ先に自分の目を疑いそう。
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image credit:Jakob Fahr /inaturalist
そのせいかウマヅラコウモリは、数百年前からアメリカのニュージャージー州で、複数の目撃情報と共に語り継がれているUMAジャージー・デビルのモデルという説もある。
そのUMAは馬、コウモリ、カンガルーを掛け合わせた生物ともいわれ、大きな翼で空を飛ぶ、ニュージャージー州の森の中を歩き回っていた、などと伝えられる。
ウマヅラコウモリはアフリカ原産で生息域もアフリカ中西部だが、この種を最初に新種として記載したのはアメリカの動物学者ハリソン・アレン氏だそう。1861年のその発見が、のちのジャージー・デビルのイメージに影響した可能性もありそうだ。
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・現代のSNSでも写真に「新種」「加工」疑惑が
悪魔的UMAの原型説が唱えられるほど、見ためが濃いめなこのコウモリは、現代でもかなりの人を混乱させたり驚愕させたりしている。
このコウモリの写真が2018年7月にSNSに登場し、次々拡散した際も「新種の生物」「加工だ」などと言われ、なかなかリアルとは認められなかった。
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・オスは繁殖期に集団で大声を出して求愛行動
しかしこのコウモリは実在するし、馬のようなオスの顔も本物だ。
オスは繁殖期になると集団で求愛行動をする。特定の場所の木に全員そろってぶら下がり、一斉に高速で大きな鳴き声を出し、メスたちを惹きつける。
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一般にコウモリは人間に聞こえない超音波で周囲を確認したり、仲間同士で連絡をとったりする。
だがこの時オスが発する声は人間にも聞こえる音で、蜂の羽音のようなブンブン音や鳥の金切り声のような鳴き声が入り混じっての大音量になる。
ときに150 匹もの群れになる大規模な求愛は、人間には騒音でもウマヅラコウモリのメスにとっては魅力的な音になる。
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シエラレオネで求愛行動をするウマヅラコウモリたちの騒音/Hammer-headed Bat Lek in Sierra Leone. What a racket!
このイベントが始まると、メスは群れの周りを飛びながら審査員のようにオスの声を厳選し、一番気に入った声のオスのところに行って交尾をする。
その基準は不明だが、いわゆるイケボがモテ基準みたいなもん?なのでこの時期、オスは競って声を張り上げメスにアピールし続けるそうだ。・主食の果物か交尾に夢中で人間には無関心
にしても、このコウモリが人を襲うことはあるのだろうか?もし万が一、吸血コウモリだとしたらとても太刀打ちできそうもない。だがその心配は無さそうだ。
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アメリカのコーネル大学の鳥類学者、ジャック・ブラッドベリ―氏によると、ウマヅラコウモリの主食は、フルーツコウモリと呼ばれる他のオオコウモリ類と同様に果物だという。
そのためアフリカで育つバナナやイチジク、マンゴー探しに夢中で、あとはつがいになるパートナーぐらいにしか関心がなく、人間のことなど別に気にかけてないそうだ。(一部肉食の個体も確認されているそうだが)
これらのコウモリはさほど賢くありません。オスの脳のシナプスの大半は交尾に集中するので、食べ物を手に入れること以外は何も考えてなさそうです。つまり現地では狂暴な生物というより、夜に農家のフルーツを盗み食いする害獣扱いらしい。
ただ、この種に限らずコウモリは、多様なウイルスの自然宿主であり、人間に重篤な症状を引き起こすウイルスをもつ個体もいる。
直に人に感染させることはまれというが、噛まれたり引っかかれたりすることで感染する可能性もある。もし見かけてもけっして触れないよう注意しよう。
追記:(2023/11/10)本文を一部訂正して再送します。
References:iflscience / unexplained / wikipedia / youtube / wikipedia / snopesなど /written by D/ edited by parumo
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