2024年初よりケタミン点滴療法の新しい取り組みがはじまる:名古屋麻酔科クリニック (6/7ページ)
私たちは、痛みに対する心理学的アプローチを当初から実践し、臨床心理士と協力して支持的な精神療法などを行っています。私自身は、夢分析に基づく力動的な精神療法を実施しており、これまでに一人の患者に対して500回以上、他の多数の患者にも合わせて数千回以上の夢分析を行ってきました。夢を無意識からのメッセージと捉え、社会的で人間的な頭で考える意識と、動物的で本能的な言葉を有さない無意識との乖離を減らすために、夢の象徴的な内容を解釈し、患者に照らし合わせることで乖離をつなぎ合わせます。夢自体には意味があり、悪い夢であっても、それが人を良い方向に導くことを信じています。夢の解釈を行わなくても、夢は個人にとって心のバランスをもたらします。夢の解釈を通じて、意識と無意識が効果的に連携し、安定した精神状態に近づくことができます。ただし、無意識に支配されすぎることは危険なため、適度な距離感を保つことが重要です。夢は無意識からのメッセージであり、人にプラスの影響を及ぼし、助けになると私たちは考えます。
繰り返しになりますが、夢はその人を良い方向に導いてくれます。これはケタミンによって引き起こされる幻覚や夢にも当てはまると私たちは考えています。つまり、幻覚は副作用と見なされることがありますが、実際には治療の一環である可能性があります。ケタミン点滴後の患者からの報告によると、「暗闇に引きずり込まれた」「宇宙に放り出された」「ギンギラ銀の世界にいた」など、また楽しい夢や悲しい現実、死んだ家族が出てきたり、視覚的な光の幾何学模様など多様な体験があります。これらの体験はすべて、無意識からの意味あるメッセージとして捉えられます。これらのメッセージは、解釈がなくとも、思考を明確にし、考えを整理し、リセットする感覚をもたらします。その結果、冷静な思考が可能となり、精神の正常化と維持に必要なセルフコントロールに繋がると考えられます。
鈴木大拙の言葉を引用すると、「科学の立場は物事を客観的に見ることを強調し、内面を外部から観察します。科学者は主観性を避け、物そのものを直接見ることはできないと考えています。しかし、真の自己を理解するためには、科学のアプローチを内面からの理解に向けて転換する必要があります。