修行僧も江戸の旅人も食べていた!知られざるいにしえのファストフード「奈良茶飯」
奈良の都の精進料理
皆さんは奈良茶飯という郷土料理をご存じでしょうか。今回はこの料理の由来や特徴について解説します。
奈良茶飯は、茶粥と並んで日本に古くから伝わる伝統料理。発祥は奈良県で、もともとは東大寺や興福寺の僧坊で食べられていた精進料理だといわれています。
では具体的にどんな料理かというと、ざっくり言えば言った大豆を入れてほうじ茶で炊いたご飯です。
これを作る際は、まずほうじ茶を作って冷ましておきます。そして乾燥大豆を弱火で炒って、表皮が少し割れてきたタイミングで水にひたします。これを両手でこすり合わせて、皮を取り除きましょう。これは水を切っておきます。
あとは米を洗って炊飯器に入れて、冷ましておいたほうじ茶を注ぎ30分待ちます。そして皮をむいておいた大豆と塩を入れて炊き上げて完成。実にシンプルですね。
全国に広まって逆輸入この料理の由来の面白いところは、奈良で生まれた「奈良」茶飯であるにも関わらず、最初は奈良では広まらなかったという点です。
奈良茶飯が有名になったのは江戸時代のことでした。これを気に入った旅人が、浅草で茶飯のお店を出したところ大繁盛。江戸市中に奈良茶飯を提供するお店が多く並んだのです。
手軽に食べられるというのも利点で、いわば江戸時代のファストフードの一種として広まったと言えるでしょう。
ちなみにこうした茶飯店はかの『東海道中膝栗毛』でも紹介されました。こうしたことがあって、奈良茶飯は全国へ広まります。そして当の奈良では、明治時代になってから注目されるようになりました。
いわば、奈良茶飯は奈良生まれであると同時に、奈良に逆輸入された郷土料理なのです。
味と栄養面の魅力は?さて、そんな奈良茶飯にはどのような魅力があるのでしょうか。まず味の特徴は、リラックス効果があるほうじ茶のかすかな香りと大豆のほんのりした甘みにあります。
さらに栄養面で言えば、ほうじ茶にはカテキンやビタミン類が豊富に含まれています(焙煎の段階で減少しますが)。
また大豆はタンパク質のほか、カルシウム・亜鉛・鉄・マグネシウムに食物繊維、ビタミンB群、ミネラルが豊富。さらにサポニンやイソフラボンには、活性酸素を抑制する働きがあるのでアンチエイジングにも効果的と言えるでしょう。
ちなみに作る時のポイントは、ほうじ茶をおいしく淹れることです。大きめの急須に、沸騰したお湯を一気に注ぐのが理想的。浸出は30秒ほどにしておきましょう。
さらに、ちょっとだけ美味しさにアクセントをつける方法として、うるち米にもち米を少し足したものを使うというやり方もあります。こうするとご飯のモチモチした歯ごたえが楽しめるでしょう。
炊き上がった奈良茶飯に、緑茶の粉末を振りかけるのもいいでしょう。こうすると清涼感のあるお茶の香りまで楽しめてとても贅沢な仕上がりになります。
ほうじ茶ではなく、緑茶で炊いてもいいのではないか? と考える人もいるかも知れません。確かに、緑茶で炊いた方が栄養面では優れています。しかし、緑茶を使うと、どうしてもほうじ茶よりも苦くなってしまうのが難しいところ。
古代の修行僧が食べていた、長寿の秘訣まで満載の精進料理「奈良茶飯」。皆さんもぜひ一度味わってみて下さい。
参考資料:
農林水産省「うちの郷土料理」
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan