花山天皇の出家は近いか!? 大河ドラマ「光る君へ」2月25日放送の重要トピックを振り返り

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花山天皇の出家は近いか!? 大河ドラマ「光る君へ」2月25日放送の重要トピックを振り返り

呪詛によって殺された藤原忯子(井上咲楽)の怨霊に憑りつかれ、倒れてしまった右大臣・藤原兼家(段田安則)。一気に窮地へ陥った右大臣家では、三男の藤原道長(柄本佑)を左大臣家の娘・源倫子(黒木華)に婿入りさせる話を進めます。

そんな中、右大臣家の次男・藤原道兼(玉置玲央)は周囲から疎まれている寂しさを紛らわすため、藤原為時(岸谷五朗)の邸宅をいきなり訪問。母の仇に出くわしてしまったまひろ(紫式部/吉高由里子)は、悲しみをこらえて琵琶を奏でるのでした。

そして京の都を去ろうとしていた直秀(毎熊克哉)たちは右大臣家へ盗みに入ったものの失敗。散楽一座はことごとく捕らわれてしまいます。松明に照らされたその顔を見て、道長は怒りとや哀しみを綯い交ぜた笑いを浮かべ……。

NHK大河ドラマ「光る君へ」、皆さんも楽しんでいますか?それでは第8回放送「招かれざる者」今週も振り返っていきましょう!

赤染衛門の気になる発言

井上探景筆『教導立志基』より、赤染衛門。

倫子「衛門ったら人妻なのに、そんなことを言って」

赤染衛門「人妻であろうとも、心の中は己だけのものにございますもの」「そういう自在さがあればこそ、人は活き活きと生きられるのです」

平安時代でも有数のおしどり夫婦として知られる赤染衛門(凰稀かなめ)。夫・大江匡衡の名前をとって匡衡衛門(まさひらゑもん)とさえ呼ばれた彼女ですが、本当は他の男声にも興味を持っていた……のかも知れませんね。

この辺りはあくまで創作ですが、心の中の自由を大切にする生き方は、まひろの文芸活動に大きく影響を与えたことでしょう。

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また劇中、自宅をいきなり訪れた道兼に対して「もうあの男に心を振り回されたくない」と気丈に本心を押し隠した振る舞いにつながりました。

紫式部の内に秘めていく性格が、こうして養われたのかも知れませんね。

藤原義懐の専横

まさに有頂天の義懐。このまま右大臣家を圧倒するか?(イメージ)

花山天皇(本郷奏多)の寵愛により、従二位・権中納言となった藤原義懐(高橋光臣)。記録によれば寛和元年(985年)11月22日に従二位、同年12月27日に権中納言となっています。

劇中では陣定(じんのさだめ)を一時停止し、原則的に天皇陛下≒義懐が独裁を行い、関白以下の意見はすべて書面で行うよう宣言していました。

要するに「お前たちの意見は聞きたくない」と言っているのでしょうね。これについては兼家の発言どおり「天皇陛下といえども過ちを犯すことがあり、それをお諫めするのが臣下の役目」と思います。

まぁそんな声を聞き入れるような義懐ではありませんが……その栄華も花山天皇が出家されるまでのこと。

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来週には、視聴者のカタルシスがもたらされるのではないでしょうか。

花山天皇に接近する道兼

花山天皇と藤原道兼。月岡芳年筆

花山天皇「右大臣の子か、早く失せろ」

いつまでも父親に虐待され、主君にも冷遇されるかわいそうな道兼。しかし父親と不和であることを知り、花山天皇はにわかに興味を持ちます。

花山天皇「地獄に堕ちるな、右大臣は……ハハハハハハ!」

憐れむかと思いきや高笑い。今週に限らず、情緒不安定な陛下でした。

これをキッカケに道兼は花山天皇の信頼を積み重ね、ついには出家をそそのかすまでの関係になるようです。

要するに、すべては右大臣家の術中だったのでしょう。兼家があらかじめ考えていたのか、覚醒した瞬間に考えついたのかも知れません。

長男の藤原道隆(井浦新)はまだそこまでのエグさを備えてなさそうですし、藤原詮子(吉田羊)はできてもしないと思います。

ちなみに兼家は4年後の永祚2年(990年)まで生きるため、もうしばらく活躍してくれそうです。

今さらだけど、散楽について

「職人尽歌合(七十一番職人歌合)」より、猿楽・田楽の縁者。

座頭の輔保(松本実)はじめ、直秀(毎熊克哉)・久々利(上田実規朗)・磯丸(谷川功)・百成(吉田壮辰)・白太(佐久本歩夢)・黒太(原池優)……昼は散楽の興行に勤しみながら、夜は義賊として暗躍していましたね。

ところで第1回放送にだけ登場した散楽一座はどうしちゃったんでしょうか。個人的に、ちょっと気になっていまして……。

【第1回放送の散楽一座】

座頭・佐藤伸之/コウメイ・金澤慎治/兼太・長谷場俊紀/兼次・松岡歩武/兼三・千葉雅大
※公式サイトより。覚えてますか?彼らのこと。

※座頭は「座頭」って役名なんですね。覆面のコウメイは誰が演じてもあまり変わらなかったような……演者さんとしては旨味が少なそうです。

話を元に戻しまして、散楽とは体系化されていない芸能全般を包括したもの。曲芸や奇術、踊りに芝居など何でもそう呼ばれました。

元はペルシャや中央アジアから奈良時代ごろに伝来。平安時代には庶民の娯楽として親しまれるポップカルチャーとして親しまれています。

伝来当初は朝廷でも散楽が演じられ、散楽戸と呼ばれる専門部署まで設けられました。しかし桓武天皇の御代に入ると低俗な芸能として廃止されてしまいます。

これによって職を失った、あるいは腕を魅せる機会を失った散楽戸の者たちが、庶民に散楽を伝承。これが散楽ブームに火をつけたのでしょう。

時代が下るにつれて散楽は日本古来の芸能と融合。田楽や猿楽、能や狂言そして歌舞伎に浄瑠璃など、様々に発展しながら現代に受け継がれています。

輔保のモデル?藤原保輔

月岡芳年「美談武者八景 洞院の秋月」より、藤原保昌に斬りかからんとする袴垂保輔(右)

散楽一座の座長・輔保(松本実)。どうせモブキャラだろうに、どうしてこんな立派な名前がついているのでしょうか。

もしかしたら、平安時代に大暴れした強盗・藤原保輔(やすすけ)がモデルなのかも知れません。

貴族から盗賊へ闇落ち…悪へ染まった平安貴族・藤原保輔の悪行の数々

系図集『尊卑分脈』には「右馬助、正五位、右京亮、右兵衛、強盗張本、本朝第一武略、蒙追討宣旨事十五度、後禁獄自害」と記されています。

【意訳】右兵衛など官職を歴任し、正五位の位を持ちながら強盗を働いた。日本一の豪傑で、朝廷より15度も追討の宣旨を受ける。のちに捕らわれ獄中で自害した。

寛和元年(985年)に源雅信(益岡徹)の館・土御門殿で傷害事件を起こし、検非違使の源忠良(ただよし)を逆恨みして射かけるなど、なかなかの悪党です。

その後も永延2年(988年)に藤原景斉(かげただ)や茜是茂(あかね これもち)の館へ強盗に押し入るなど罪状を重ねました。

手を焼いた朝廷は保輔を懸賞首とし、ついには父の藤原致忠(むねただ)を人質として逮捕します。犯人でなく、官憲が人質をとるなんて相当焦っていたんでしょうね。

さすがに危機感を覚えた保輔は出家して北花園寺へ逃げ込みますが、友人の藤原忠延(ただのぶ)がこれを密告します。

そしてかつて部下であった足羽忠信(あすわ ただのぶ)によって捕らわれてしまいました。

生き恥をさらすまいと自ら腹をかっさばき、腸を引きずり出した保輔は、その翌日に獄死。これが日本史上初めての切腹と言われています。

話は戻って、散楽一座の座頭・輔保。実在の保輔はまだ生きますが、彼はどんな最期を遂げるのでしょうか。

第9回放送「遠くの国」

花山天皇「(道兼に)お前は、分かってくれるのか」

藤原実資「(義懐に)私ほどの勤勉な者に向かって怠慢とは……」

安倍晴明「私の秘策、お買いになりますか?」

まひろ「散楽の人たちが何をしたって言うんですか!」

藤原道長「どこに向かった!」

まひろ「もう三郎とは呼べないわ」

道長「余計なことをした」

まひろ「そうね、海の見える国……」

次週予告のセリフから、花山天皇は道兼と意気投合。そろそろ出家するようですね。

朝廷内では藤原実資(秋山竜次)が義懐に反発し、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が何やら秘策を持ち出します。

そして捕らわれた散楽一座が処刑され、まひろは道長を逆恨みする。そんな展開でしょうか。

何もかも嫌になって、海の向こうに広がる世界に思いを馳せる……次週も目が離せませんね!

トップ画像:大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

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