遺伝子操作で誕生した6本足のマウス、生殖器が2本の足に変化 (1/3ページ)
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遺伝子操作により、生殖器の代わりに2本の余分な足を持つ、合計6本足のマウスが誕生した。実はこれ、意図的にやったわけではない。
胚の成長に関わる受容体タンパク質の実験を行っていたところ、偶然にも生殖器が2本の後ろ足に変化してしまったのだ。
それもそのはず、四肢動物の外性器と足は、同じ原始構造から発達するのだ。結果的にこの研究により、生殖器と足のどちらを生やすべきかが決定されるメカニズムが明らかになったという。
・遺伝子操作を行っていた所、6本足のマウスが誕生してしまう
ポルトガル、グルベンキアン科学研究所の発生生物学者モイセス・マロ氏らは、「Tgfbr1」という受容体タンパク質を研究していた。
これは胚(多細胞生物の個体発生におけるごく初期の段階の個体)の発生のさまざまなプロセスに関わるシグナル伝達経路に関係している。
研究では、まだ発生途中にあるマウスの胎児の遺伝子を操作し、Tgfbr1が機能しないようにして、それが脊髄の成長にどう影響するのか調べていた。
ところがある時、彼の教え子が妙なものを見つけたと報告してきた。
そのマウスの胎児の本来なら生殖器があるところから、あるはずのない2本の後ろ足らしきものが生えていたのだ。
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通常のマウスの胎児(左)と、遺伝子操作で6本の足が生えてきた胎児(右)。そのお腹からは内臓も突き出ている/Credit: Anastasiia Lozovska et al/Nat. Comms・受容体タンパク質がDNAの折りたたみ方に関わっていた
驚くべきことだが、まったくあり得ないことではないという。