紫式部、結婚に踏み切る!ふられてもラブレターを送り続けた藤原宣孝の一途さ…「光る君へ」でどう描かれる? (3/4ページ)
式部の詠んだ歌としては、以下のようなものがあります。
近江守の女(むすめ) 懸想すと聞く人の「二心なし」など 常に言ひわたりければ うるさくて
(近江守〈滋賀県の国司〉の娘に言い寄っていると噂される人が、「あなただけです」などといつも言ってくるのがわずらわしいので)
みづうみに 友よぶ千鳥 ことならば 八十の湊(やそのみなと)に 声絶えなせそ
(湖で友を呼ぶ千鳥さん、どうせなら、いろいろな場所で、たくさんの女性に声をおかけなさい)
よもの海に塩焼く海人の心から焼くとはかかる なげきをやつむ
(あちこちの海辺で塩を取るために、投げ木=焚き木を集めて焼く海人のように、あなたは自分からいろんな人に言い寄って、嘆きを重ねているのでしょう)
このような素っ気ない手紙を受け取った宣孝ですが、ある時、式部の気を引くための工夫をしました。真っ白い紙の上に朱色の墨を点々と滴らせて、「私の涙の色です」とだけ書いて送ったのです。それに対する式部の返事は次の通りです。
紅の 涙ぞいとど 疎まるる 移る心の 色に見ゆれば
(紅の涙を見て、ますます疎ましくなりました。移ろいやすいあなたの心の色に見えるので)
すぐに色あせてしまう朱色の墨を、移ろいやすい宣孝の心の色に重ねたわけです。さらに式部はこの歌の後に、
もとより人の女(むすめ)を得たる人なりけり
(もともと、妻のいる人なのです)
と綴っています。