火星で永遠の眠りについた探査機「インサイト」を先輩探査機が発見しその姿を届けてくれた!
[画像を見る]
2018年に打ち上げられ、火星を調査していた探査機「インサイト」はピンチに直面した。エネルギー源である太陽電池のパネル全体が、大量の塵に覆われてしまったのだ。その苦境に耐え、最後まで精力的に任務を果たしていたものの、2022年、惜しまれながら永遠の眠りについた。
ところが最近、2005年に打ち上げられた先輩探査機である「マーズ・リコネッサンス・オービター」が火星の地表でインサイトを発見し、その姿を撮影して送ってくれたのだ。
体のほとんどが塵に覆われながらも、安らかに眠っているインサイト。久々にその姿を見ることができた探査機ファンは心にグっとくるものがあったようだ。もちろん私もだ。
・2年前に永遠の眠りについたインサイトを先輩探査機が発見
NASAの火星探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)」は2005年8月12日に打ち上げられてから今日に至るまで任務をこなしている。この探査機には高解像度カメラが複数設置されており、火星上空の周回軌道から、火星の表面を調査・探索している。
そして最近MROは、火星の赤道付近にある広大なエリシウム平原で、懐かしく愛おしい遺物を発見した。
2022年に永遠の眠りについた探査機「インサイト」である。
NASAはX(旧Twitter)でMROが撮影したインサイトの姿が写った画像を投稿した。それは画像の真ん中にあり、よく見ると翼のように展開された2枚の円形ソーラーパネルが見える。
Can you spot @NASAInSight?
— NASA Mars (@NASAMars) May 6, 2024
The retired lander was recently spotted by the Mars Reconnaissance Orbiter. By studying InSight's landing site over time, scientists can see how quickly dust accumulates, which helps estimate the age of other surface disturbances. pic.twitter.com/ZsazACkZSs
NASAの探査機「インサイト」を見つけられましたか? 火星の地表で永遠の眠りについたインサイトは、最近、マーズ・リコネッサンス・オービターによって発見されました。・インサイトが4年で永眠した理由
インサイトの着陸地点の時間経過を調査することで、塵の蓄積速度がわかり、地表の状態から地殻変動の年代を推定する際の手がかりになります
2018年5月5日に打ち上げられ、火星探査でさまざまな発見をしてくれたNASAの火星探査機インサイトは、2022年12月、みんなから惜しまれながらも永遠の眠りについた。
その探査では1300回以上の火震(火星の地震)を計測し、赤い惑星が地質学的にまだ死んでいないという証拠をもたらした。
さらに塵まみれになりながらも、火星の自転が速くなっていることを示す置き土産までも残してくれている。
当初の予定では、インサイトのミッションは1年だった。それが2年となり、4年に伸びたのだから十分がんばってくれていたのだ。
2021年の春、NASAによって緊急救命措置が施されたが、もう余命いくばくもないことがわかっていた。
実はインサイトには塵が苦手という弱点があったのだ。
火星の地表を調査する探査機仲間である、「キュリオシティ」やパーサヴィアランスは、原子力発電でパワーを得ている。ところがインサイトの場合、太陽光で発電する。だから火星の塵によってソーラーパネルがおおわれると、発電できなくなってしまうのだ。
[画像を見る]
砂埃に覆われてしまった晩年のインサイト / image credit:NASA
ちなみに現在火星には他にも、フェニックス、オポチュニティ、インジェニュイティといった過去の火星探査機もひっそりと眠っている。
こうした火星探査機の残骸がいつの日か、歴史的な遺物として保護されることもあるかもしれない。
References:@NASAMars / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』