中国で発見された100万年前の謎多き頭蓋骨はドラゴンマン(竜人)と現生人類の共通先祖か?

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中国で発見された100万年前の謎多き頭蓋骨はドラゴンマン(竜人)と現生人類の共通先祖か?
中国で発見された100万年前の謎多き頭蓋骨はドラゴンマン(竜人)と現生人類の共通先祖か?

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 中国湖北省で発掘された100万年前の頭蓋骨は、我々「ホモ・サピエンス」と謎めいた「ドラゴンマン(竜人)」の最終共通祖先に近いグループであることがわかったそうだ。

 その頭蓋骨は「鄖県人(うんけんじん)」と呼ばれるもので、これまでたった3点しか発見されていないことから、謎の多い旧人類である。

 今回、中国科学院古脊椎動物古人類研究所をはじめとするグループは、その頭蓋骨をもとに最初の形状を復元し、ホモ属各種のものと比較した。

 その結果、鄖県人は、形態学的にも年代的にも、現生人類とドラゴンマンとの最終共通祖先に非常に近いグループであることがわかったという。

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 1989年と1990年、中国湖北省の鄖陽区(うんようく)で100万年前の人類の頭蓋骨が発掘された。

 「鄖県人(うんけんじん/郧县人)」と呼ばれるこの未知の人類の頭蓋骨は、ホモ・エレクトスにもホモ・サピエンスにも似ていた。

 2022年、3つ目の頭蓋骨が発見されたが、数が少ないことに変わりはなく、その正体はいまだはっきりしない。

 だが今回の研究によれば、鄖県人は我々「ホモ・サピエンス」と絶滅した旧人類「ドラゴンマン(竜人)」の最終共通祖先に近いグループかもしれないという。

 ドラゴンマンは、正式には「ホモ・ロンギ(Homo longi)というホモ属(ヒト属)の仲間だ。竜人という意味だが、竜のような姿をしているわけではなく、黒竜江省竜江で14万6000年前の頭蓋骨が発掘されたことにちなむ名称だ。

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ドラゴンマンの想像図 / image credit:Chuang Zhao

 ホモ・サピエンスの親戚であるデニソワ人と同じ種であるとする説もあるが、現時点でドラゴンマンがホモ属のどこに位置付けられるのか、確かなことは不明だ。

 だが、このドラゴンマンと鄖県人には興味深い関係があるようだ。

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湖北省博物館に展示される鄖県人の頭蓋骨 / image credit:Gary Todd/Flickr Public Domain・現生人類とドラゴンマンの最終祖先に近い
 今回の研究で中国科学院古脊椎動物古人類研究所をはじめとするグループは、3つある中でも特に保存状態のいい鄖県人の頭蓋骨から元の形状を復元し、ほかのホモ属のものと比較した。

 鄖県人にはいくつかのホモ属が混ざっているような特徴があるが、それでも頭蓋の大部分は、ドラゴンマンの系統のように思われると、論文では説明されている。
復元された頭蓋骨(郧県2)は、おそらくデニソワ人を含むアジアのドラゴンマン系統の初期メンバーであり、ホモ・サピエンス系統の姉妹グループであることを示唆している
 研究チームによれば、ホモ・サピエンスとドラゴンマン両系統のルーツは、中期更新世(約78万~12.6万年前)よりずっと前であるという。

 この2つの系統が誕生したとされる時期は、それぞれ113万年前と93万年前だ。そして奇しくも 鄖県人の年代は約94万~110万年前で、ドラゴンマンやホモ・サピエンスの起源と一致する。

 こうした頭蓋骨の形態的な特徴や年代の一致から、鄖県人は私たちとドラゴンマンの最終共通祖先に非常に近いグループであると研究チームは推測する。

「鄖県人が、ホモ・サピエンスとドラゴンマンの系統の最終共通祖先に、形態学的にも年代的にも近いと結論するのは妥当なこと」であるそうだ。

 この論文の未査読版は『bioRxiv』(2024年5月17日付)で閲覧できる。

References:Mysterious 1-Million-Year-Old Skull From China May Belong To "Dragon Man" Lineage | IFLScience / Ancient Chinese Skull Offering Clues to Dragon Man Lineage / written by hiroching / edited by / parumo



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