大陸形成に関する新説、「クラトン」は30億年前に風化によって作られたと提唱する科学者 (2/3ページ)
その結果、ウラン・トリウム・カリウムは地殻の浅いところに集められ、地殻の深いところは冷えて固まっていった。こうして厚く硬い岩石層が形成され、大陸の底が変形しないよう守ってくれたのだ。
こうして誕生したクラトンは、今から30億~25億年前に形成されたと考えられている。ウランのような放射性元素が現在の2倍のペースで崩壊し、2倍の熱を放出していた時代のことだ。
このことは、クラトンが形成された時期が、クラトンの安定化プロセスには適切だったことを示している。
研究著者のジェシー・レイミンク氏は、「これは惑星進化の問題として考えることができます」と語る。
彼によるなら、地球のような惑星を作るうえで重要になる要素の一つが、比較的早い時期に大陸が誕生することだろうという。
それによって海面付近にできる高温の放射性堆積物が、安定した大陸地殻を作り出し、生命が繁殖するのに最適な環境をもたらすからだ。
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photo by iStock・地下奥深くに埋もれた大陸史の痕跡
この研究では、岩石から放射される熱を評価するために、クラトンが形成された太古代の岩石サンプルを集め、そこに含まれるウラン・トリウム・カリウムの濃度を分析した。
これまで、時間の経過による放射熱の変化が研究されたことはあった。だが岩石をもとに割り出した熱量を大陸の形成と結びつけたという点で、今回の研究は新しい。
クラトンは地球上で最も古い岩石を含んでいるが、それを研究するのは簡単なことではない。地殻変動が活発な地域ならば、山が形成される際に、地下深くに埋もれていた岩石が地表まで浮かび上がってくることがある。
そもそもクラトンの起源は地下深くにあるので、直接アクセスすることはできない。
今後の研究では、クラトン内部のコアサンプルを掘削するなどして集め、今回のモデルを検証することになるだろうとのことだ。