種の違うイルカの赤ちゃんと一緒に泳いでいたピンク色のイルカを発見

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絶滅の心配がある希少なイルカの子が、これまで絶滅が危惧されている珍しい別の種のイルカと一緒に泳ぐ姿がカンボジアで目撃された。
一緒に泳いでいたのは、成長すると全身ピンクあるいはピンクと灰色のまだら模様になるシナウスイロイルカの成獣と、カワゴンドウの赤ちゃんだ。
シロナウスイロイルカは鼻が長いのが特徴だが、カワゴンドウは頭が丸くのっぺりしているのでその姿は似ても似つかない。
彼らは明らかに親子ではないのに、親子のように一緒に行動しているのは非常に珍しいケースだという。
・種の違うイルカの大人と赤ちゃんが一緒に行動
カンボジア南部沖でイルカの調査を行っていたカンボジア海洋保全協会(MCC)のベッキー・チェンバース氏らは、20243月12日に初めて生まれたばかりのこのカワゴンドウの赤ちゃんを目撃した。
カワゴンドウはシナウスイロイルカと交雑する例はあることはあるが、極めて稀なことだ。この赤ちゃんは完全にカワゴンドウの体の特徴をすべて備えていたため、交雑で生まれた可能性はほとんどないという。
つまり異種の成獣と赤ちゃんが行動を共にしていたことになる。
どちらの種も、自分の直接の子どもではない他者の子を育てる代育を行うことがあるそうだ。まれに種が違ってもそうした関係が成立することがあるそうだ。
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(左)シナウスイロイルカ、(右カワゴンドウ)photo by iStock・親代わりとして子育てをしていた可能性が高いことが判明
しかし、今回目撃されたケースが〝代親の子育て〟なのかどうかは、この時点ではまだわからなかった。
もしかしたら、シロウスイロイルカが攻撃的になってカワゴンドウの母子を引き離そうとした可能性もあるという。
いずれにせよ、この赤ちゃんイルカはシロウスイロイルカと一緒にいた期間を無事に生き延びたようだ。
そして2024年4月23日、この赤ちゃんイルカが再び目撃された。
チェンバース氏の仲間の1人が一頭のシロウスイロイルカを追跡していると、驚いたことにその個体はカワゴンドウの群れに近づいたという。
その群れの中に赤ちゃんがいたのだ。前にシロウスイロイルカと泳いでいた赤ちゃんに違いないという。
はっきり顔を確認したわけではありませんが、3月12日に目撃された赤ちゃんと同一個体と思われます。
つまり種の違う成獣が敵意を持っていたのではなく、世話をしていたのではないかという証拠になりそうです
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・シナウスイロイルカとは
クジラ目ハクジラ亜目のシナウスイロイルカは、東シナ海、インドネシア、ニューギニア、オーストラリアなど広範囲に生息する。
体長は2m、体重150kgキロになり、生まれた直後の体色は全身が黒が濃い灰色だが、成長すると全身がピンク、あるいはピンクと灰色が混じったり、白っぽくなるという。
埋め立てなどによる環境汚染、エサである魚の乱獲、船舶の頻繁な航行などにより個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されている。
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中国のシナウスイロイルカ・カワゴンドウとは?
カワゴンドウもクジラ目ハクジラ亜目の海洋哺乳類で、東南アジアの海に生息する。体長2.3m、体重130kgほどになる。
大きな丸い頭を持ち、黒っぽい色をしていて全体的にずんぐりした印象だ。口から水を吐き出して、ミャンマーのエーヤワディー川では、漁師と共同で漁を行うことで知られている。
だがこちらも生息域の縮小や、漁具にからまるなどしてその数が減っており、危険なレベルの絶滅危惧種に指定されている。
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References:MCC's Cambodian Marine Mammal Conservation Project / written by konohazuku / edited by / parumo
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