容赦なく首をはね……平安貴族でありながら”百人斬り”を果たした藤原朝成のエピソード【光る君へ 外伝】 (2/3ページ)
「やったぞ!これで行ける!」
朝成は一路、石清水八幡宮へ参拝して神主に面会します。何を話したのでしょうか。
中納言になれますように!
「……ダメです」
石清水八幡宮の神主は朝成の申し出を断りました。
「何ゆえっ!?」
「よろしいか。八幡大菩薩は殺生をお嫌いになり、放生を旨とされます。『強盗を百人斬ったから、その功績で中納言にしてくれ』なんて祈祷は上げられません」
八幡大菩薩は武神なので、武勇をお喜びになるかと思ったのですが、無益な殺生はむしろお嫌いのようです。
朝成は中納言になりたい一心で、神頼みをしようと思って百人斬りをしていたのでした。
ちなみに放生(ほうじょう)とは、生き物を殺さずに解き放つこと。古来罪業をあがなう功徳とされ、現代でも各地で放生会(ほうじょうえ)が行われています。
話を戻してこちら朝成。中納言になりたい一心で百人斬りに励んだのに、ここで引き下がる訳には行きません。
「そなたの言いたいことも解る。確かに八幡大菩薩の託宣には、ハッキリ殺生禁断の旨が示されておるからな」
だったら何故申し出たのか……しかし朝成は続けて言います。
「しかし託宣の最後に『忠義を尽くすため、悪人を成敗するのはこの限りでない』という文言があろう。わしが首を刎ねたのはいずれも悪人であり、これが忠義でなくて何だと申すか」
そう言われてしまうと、神主は返す言葉がありません。