元恋人の死と、突如現れた自分の子ども。常人の想像を超えるスタート【海のはじまり#1】 (2/4ページ)
一週間も気づかなくて不安な思いさせてごめん」と、夏は突然の出来事に対して1000000点の返しで、水季の体を心から気遣うと共に、「他の選択肢はないの?」と、水季の決意を揺らがせるような言葉をかけます。
しかし、「夏君は産むことも堕ろすこともできないでしょ」と一蹴し、後日中絶のための病院に夏が付き添ったのを最後に、水季は大学も辞め、夏の前から消えたのでした。
■たくさんのうそと水季の選択
中絶を決めた頃は「クリスマスどこ行こっか」と未来の話もしていたはずなのに、突如相談一つなく大学を辞め、夏の前から姿を消した水季。
困惑する夏はすぐさま電話をかけます。そこで水季から発されたのは「学費が高いから就職することにした。ちょうどよかった。別れよ。夏君より好きな人ができた」という、すぐには受け入れ難い言葉の数々。
それを最後に今回の訃報まで、ずっと交流が途絶えていた二人ですが、数年越しに夏に降りかかってきたのはまたも衝撃の事実。
実は中絶したと思っていたあの病院の日、水季は中絶をしていなかったのです。一人で子どもを産み、育てることを決意し、夏にうそをつき、夏の元を去っていたのでした。
夏と水季の最後の電話で言っていた「好きな人」は夏の元から離れるためのうそ。水季が「絶対幸せになるし、する」と言っていた、幸せにする相手は、好きな人ではなく、自分のお腹に宿った子どものこと。たくさんのうそを抱えながら水季はなぜ「産む」「夏に隠す」「一人で育てる」という選択をしたのでしょうか。
「相談してよ!」という夏の言葉にも「夏君に影響受けて考えが変わったことない」と反論していましたが、普段は自分の意思のままに生きる水季も、あの時ばかりは相談したら考えが変わったり、影響を受けたりしてしまうのが怖くて、夏から連絡が来るまで話すことは愚か、会うこともできなかったのかも知れません。