2人で生きることをやめた夏。気づけば始まっていた、海のはじまり【海のはじまり#最終話】 (3/3ページ)
■弥生との新しい関係のはじまり
弥生と夏の交際が始まる時の回想と、「あんまりそう見えてなかったと思うんだけど、俺も一緒にいて楽しかったんだよね」という夏の今の言葉。弥生との交際への感謝の意味を込めたこの言葉は、夏が弥生との交際にしっかり気持ちの区切りをつけたことと、「海の友人・弥生とその父・夏」として、弥生との新たな関係がはっきり構築されたことの表れだったのでしょう。
転職や海との関係など、夏が壁にぶち当たった時には、実は職場の先輩や津野などがいつも正しい助言をくれていたのですが、夏はその時点では納得ができず、後日弥生が噛み砕いて優しく説明することで腹落ちし、毎回自分の行き先を決めることができました。
これからも海の友人としての弥生の存在は、夏の心強い味方になることでしょう。
■気づけば始まっていた、海のはじまり
水季が夏に残してくれた手紙。
「海はどこから始まってるか分かりますか? 始まりは曖昧で、終わりはきっとない。今までいなかった夏くんはいつからか海のパパになっていて、今そこにいない私はいなくなっても海のママです。父親らしいことなんてできなくていいよ。ただ、一緒にいて。いつかいなくなっても一緒にいたことが幸せだったと思えるように」
ラストには1話の冒頭で海辺を歩いていた水季と海のシーンの対比のように、海辺を歩く夏と海の姿。
前を歩く海を、後ろから見守る夏。ふと振り返る海に「いるよ!」と笑顔で返す夏。
気づけば夏は海の父になっていました。死が2人を分かつまで共に生き、今この瞬間も一緒にいた全てが幸せだったと思える時間になり、ずっと海の父であり続けるのでしょう。
(やまとなでし子)