長年に渡る殺陣技術の保存・伝承活動に対し「東久邇宮文化褒章」を受章 日本で唯一の女殺陣師、山野亜紀(女邦史朗) (2/4ページ)
時代劇や現代アクション作品は男性演者の需要が多く、女性である山野は技術があっても表舞台の仕事に恵まれなかった。そのため、研鑽の傍ら林氏の代理講師としてタレント養成所のアクション指導を2009年より務めるが、当時は女性の殺陣講師すら、まだ数えるほどもいなかった。
どうしたら女性の仕事が増やせるのか。山野は林に提案し、林氏のマネジメントやプロデュース業務を経験する事で、いわゆる縁の下の力持ちの活動も含めて、師と二人三脚で日本のTVドラマ文化を長年支えてきた経緯がある。
また山野は、日本の武士文化や時代考証についても造詣が深く、こうした幅広い知識をもとにミニシアターなどで時代劇映画の実演解説なども行っており、映画ファンに好評を博している。
これは山野の師の林が、NHK大河ドラマを50年以上務める中で、数多くの時代考証家や武術家と交流、自身も研究を怠るような人物ではなかったからと言える。
SNSのない時代に生きた林は、人との繋がりで数多くのドラマを手掛けるしかなかった。ドラマに指導に来られた数々の宗家の教えもあって、林は剣道・合気道・空手・ボクシング・琉球古武術・中国拳法・太極拳・馬術・弓術・槍術・薙刀術・棒術・杖術・小太刀術・棒手裏剣・手裏剣術・忍術・火縄銃などを学んだ。
大河ドラマであれば、平安時代から昭和までの殺陣を振り付けるに辺り、これほどの下地が必要であり、その殆どを山野が受け継ぐ経緯となったのは、林が「武劇」と自ら銘打ち、長らく、上記の武術を活かしエンターテインメント性を加えた演目を生涯のステータスとしていたためである。林は山野に、「自分がいない時には、山野が指導できるように」したという。
また林邦史朗は、日本刀にも深く通じ、真剣試斬演武も数多く行っている。
ドラマ撮影開始の折には、真剣で実際に竹などを斬る事で場を清めるなどのパフォーマンスや、ドラマ内で真剣の薙刀で金の入った袋を切る(義経・2005)演出にも協力。その後、自身が宗家となって「林流真剣刀法のすべて」という教育DVDも制作をした。