長年に渡る殺陣技術の保存・伝承活動に対し「東久邇宮文化褒章」を受章 日本で唯一の女殺陣師、山野亜紀(女邦史朗) (3/4ページ)
殺陣教育DVDシリーズの方は、アクション演技にまつわる怪我や事故などのリスクを低減するために林氏が考案した稽古手法を、誰でも気軽に学べるようにと山野が林氏に提案して企画・制作されたものである。
現代劇、時代劇の格闘や立ち廻り場面における体の使い方の基礎が学べるほか、実際の武術とドラマ上の演出との違い、安全面への配慮など幅広い知識が盛り込まれている。
未経験者を数多く指導してきた山野のノウハウが活かされ、初心者にもわかりやすく楽しみながら学べる内容となっている。
時代劇は現代劇に比べ衣装やセットに費用がかかる、時代考証など特別な知識が必要とされることなどから、昭和の全盛期を頂点に徐々に衰退、現在レギュラー番組として作られているTV時代劇はNHKの大河ドラマしかないのが実状である。
しかし、今年は真田広之氏が主演、プロデュースも手掛けたアメリカの時代劇ドラマ『SHOGUN 将軍』が全世界的に話題となり、また、京都の東映京都撮影所を舞台とした日本映画『侍タイムスリッパー』の記録的大ヒットなど、低迷していた日本の時代劇にまたスポットが当たりつつある。
時代劇制作において殺陣師の果たす役割は大きいが、これまでその仕事内容が一般の人に知られる機会はほとんどなかった。
「今回の受章は、業界全体に対する励ましと受け止めています」と山野は話している。
「本物よりも本物らしい」立ち回りを生涯追求し、各種剣術流派から、琉球古武術、太極拳に至るまで、広範な武術を学んで大河ドラマの演出に取り入れた林邦史朗の業績を、この受章をきっかけに時代劇ファンのみならず、もっと多くの人に知ってもらいたいというのが山野の想いである。
■山野亜紀コメント
「今回の受章は、師である林邦史朗の長年の功労が報われたものと思い、師に代わりまして深く感謝申し上げます。死の直前、師は『自分が会得した殺陣や真剣刀法の技術や、所作の知識を映像という形で遺すことができ本当によかった』と申しておりました。ただ、DVDを見るだけでは技術は身に付きませんので、やはり地道なトレーニングが必要です。私は邦史朗の名を継ぐひとりとして、師の信念と教えを身をもって一人でも多くの方々に伝えていきたいと思っております。