「水鳥にビビッて退却」は作り話だった!?武将・平維盛の情けないエピソードが創作された理由とは? (3/3ページ)
その小競り合いによって富士川の水鳥が驚き、平家の総大将である平維盛は、その羽音を源氏の大軍による奇襲と勘違いして退却を決意したというのです。
こうしたエピソードが本当なら、武将として実に情けない話ですね。
なぜ語り継がれたのかしかし、実際のところ、これらの「水鳥の羽音にビビッて維盛が退却した」エピソードは後世の作り話で、現在では平家軍は最初から戦意が乏しく、勝ち目が薄いとみて退却したとみられています。
歌川芳虎『大日本六十余将』の平維盛(Wikipediaより)
平家の戦意の乏しさの背景には、1179年から二年つづいた西日本の凶作があったとみられています。
平家の地盤である西日本では各地で飢饉が発生し、疫病も流行していました。京都でも多数の餓死者が出ていたと伝えられています。
つまり、平家は飢饉と疫病流行の渦中にあって、兵を集めることもままならなかったのです。
実際、当時は辛うじて集めた兵も、数合わせにすぎない借り武者が多くかったといいます。
そんな状況だったことから、「水鳥の羽音を聞いて逃げ出す」といった情けない話が語り継がれることになったのでしょう。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:photoAC,Wikipedia
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