好きなことは仕事にしない方がいいのか。夢を諦めた編集者の葛藤【未恋~かくれぼっちたち~#5】 (3/3ページ)

マイナビウーマン

また、親サイドも「わたしは、自分の時間を犠牲にして子どものために生きてきた」という自信があるから、子どもに気持ちをぶつけられても、なかなか理解できなかったりする。むしろ、「こんなに頑張ったのに、なぜ?」と思ってしまうケースの方が多い気がします。

ゆずの両親も、このタイプですよね。娘がいつまでも自分の手のひらのなかにいると思っている感じ。おそらく、ゆずは小さいころから親の顔色をうかがって生きてきたんだと思います。「美大に行きたい。漫画を描きたい」と言ったのは、ゆずの初めての自己主張だったのではないでしょうか。

もちろん、それまでもいろいろな夢(例えば、お昼寝屋さんになりたいとか)を語ったことはあったんだろうけど、「あっ、この夢はお母さんが嫌がってそうだな……」と思ったら、すぐに諦めることができた。だから、漫画を描きたいというのは、ゆずにとって“これだけは譲れないもの”だったんだと思います。

それなのに、ゆずの両親は「いま、絵をやりたい気持ちは分かるけど、いま本当にやらなくちゃいけないこと(=勉強)をやらないと、どんどん道が狭くなっちゃうんだよ」と言い、“普通”の道を勧めてくる。

ゆずの学生時代の回想を見ていて、わたしは「めちゃくちゃしんどかったんだろうな」と思いました。でも、ゆずは親のことを恨んでいないんですよね。「わたしは、いつも親の手のひらのなかにいた。それでもわたしの親はいい人だ」といまも思っているんだと思う。

もしかしたら「このクソ野郎〜! 分からずや〜!」という気持ちもあるのかもしれないけれど、ゆずには親を憎しむ権利がないんですよね。なぜなら、ゆずの両親はいつもゆずのことを考えて、時間やお金を割いてきてくれたから。

こういう場合って、なかなか両親の檻のなかから抜け出せなかったりするんだけど、「わたしの親は、いい人だ。いい人だから、その正しさにわたしのやりたいことが飲み込まれていってしまう」と気づき、高校生という若さで家出をしたゆずはすごい! 本当に、ガッツがある女の子ですよね。

ただ、ガッツあるがゆえに、まわりの人を巻き込みまくるのがゆずなんですよ! だって、「わたしにしか描けない漫画を描きに行きます」というメモだけ残して、同棲していた家を出て行ってしまうなんて……。健斗、振り回されすぎ〜!

今後の展開は一体どうなってしまうのか! では、また次回お会いしましょう。

(菜本かな)

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