人々の切実な願望を祈願した象徴「陰陽石」とは?奈良・水谷神社の「子授石」についての考察【後編】 (3/5ページ)
子授け石・イブキの巨木を清浄な空気が包み込む
さて、このあたりで本題である「水谷神社」の「陰陽石」についてお話しを始めましょう。
同社の「陰陽石」は、社殿前の「子授石」と社殿下の磐座の二石あり、「子授石」が陰石、磐座が陽石とされます。
陰石の「子授石」は誰が見てもそれとわかる女性器の形状で、「子宝に恵まれる」という霊験で知られます。
一方陽石は、社殿の土台基礎部分、井桁に組んだ土台の中央部に朱塗りの木材に押しつぶされるようにあり、漆喰で塗り固められています。それ故に原型はよくわかりませんが、磐座の上に男性器の形状の石を置いたのではないかとも推測されます。
この磐座を漆喰で塗り固めるという特異さは、全国の陰陽石信仰の中でもとても珍しいのではないでしょうか。ただ、春日大社本殿玉垣内にも同様に漆喰で固めた磐座があるとされますので、もしかしたら、春日大社特有の信仰のカタチなのかもしれません。この点においては、まだまだ分からないことが多く、考察を重ねる必要がありそうです。