現実を生きる編集者の葛藤。「叶えられなかった夢」との向き合い方って?【未恋~かくれぼっちたち~#9】 (3/3ページ)
つまり、「ありがとう」を「さようなら」に捉えちゃったんですよね。これは、なんか分かるなぁと思いました。
健斗は、みなみと過ごした3ヶ月間が人生でいちばん充実していたらしいです(ゆずが聞いたら嫉妬するぞ〜)。「初めて生きる意味が分かったんだよ。それを教えてくれたみなみさんと一緒にいられることを奇跡のように感じていて」というのは言い過ぎでは? と感じますが……。とりあえず、健斗はみなみの才能に強く惹かれていたんだと思います。
ただ、缶詰合宿をしていた3ヶ月間、健斗は小説だけに集中できる環境だったにも関わらず、まったく書くことができなかった。それなのに、「人生でいちばん充実してて〜」って言うってことは、健斗はそもそも小説家向きではなく、編集者向きなのでは? もしかすると、今の仕事は天職なんじゃないかなぁ。
これは持論になってしまいますが、天職というのは、“好き”と“向いてる”がちょうど重なった部分にあるものを指すと思うんです。だから、人を支えるのが好きで、向いている健斗にとって、編集者は天職とも言える。
第7話で、健斗が「(今の仕事は)仕事だから、割り切ってやってる。好きじゃないからできるんじゃないかな。だから、好きなことは仕事にしない方がいいんだよ」と言った時、星くんが「そんなにこの仕事が嫌なら、好きになった方がいいですよ。この仕事!」と返していたことを思い出しました。
まず、健斗は編集者を辞める方向ではなく、編集者の仕事を好きになるように努力してみる。みなみが「小説より好きなものが現れるのが怖かったの? それで、好きなものを好きって言えないの?」と言っていたけれど、そういうのを全て取っ払って、一度いまの仕事に向き合ってみるのもいいんじゃないかなと思います。それでも無理だったら、また考えればいい。小説は、いつだって書き始めることができるのだから。
(菜本かな)