「子どもを持たない30代以降」に何を思うのか。『いるいないみらい』で考える自分の未来 (2/3ページ)
「無花果のレジデンス」では、妻との妊活への熱量の差に苦しむ夫が登場する。
どちらの主人公も30代半ばの年齢だが、登場人物たちは“まだ”悩んでいる。20代、子どもが欲しいかはまだ分からなかった。30代になっても、悩んでいる人はいるのだ。
前述した通り、こういった話題は歳を重ねるほど、他人とは話づらくなったりする。昔は仲良くしていた女友達も、20代後半、30代ともなると、人生設計やライフスタイルがずれ始める。昔と変わらず接してくれる人もいれば、センシティブになってしまう人もいる。女子会で「子どもはどうする?」なんて話題が上がっても、みんなが心の底にある本当の想いを吐き出しているとは限らないのだ。
結婚とか、子どもとかいう話題はその人の人生にあまりにも大きく関わる問題だ。だから気軽に人に相談できないし、友達もだんだん、相談してくれなくなったりする。だからこそ、本を読むことに意味がある。『いるいないみらい』の中で、登場人物たちはその切実な想いを私たちに語ってくれる。だから私たちも自分の「いる・いない未来」について、真剣に考えることができるのだ。
『いるいないみらい』はフィクションの小説だが、内容はどこまでもリアルだ。登場人物たちが何を不安に感じ、なぜモヤモヤしてしまうのかも、ありありと描かれる。彼氏や夫、母との考え方の違い。それこそ、まるでカフェで女友達の話を聞いているかのように、現実的だ。
■「妊娠しなかったら」、わたしは後悔する?
「私は子どもが大嫌い」には、文字通りが子ども嫌いな主人公が登場する。趣味の時間に没頭できる主人公にとって、結婚や家庭を持つことは、自分の時間を奪われることに他ならない。しかし、ひょんなことから近所に住む子どもと関わることになると、優しく接することができる。その姿を想像すると、子どもを持つか悩んでしまう自分も、子どもが嫌いなわけではなく「不安」が強いだけなのではないか、と考えさせられる。
子どもを持たないまま、40代、50代になった登場人物たちも登場する。しかし、出産ができない年齢になっても「養子を持つ」という選択肢も存在する。今や、提供を受けて「ひとりで」生むことだってできる。