これぞ武士の妻!江戸時代、夫と共に討ち入り!死線を乗り越えた女房の武勇伝【葉隠】 (2/4ページ)
「ただいま」
「お帰りなさいませ……一体いかがなされましたか?」
出迎えた妻(以下、高木妻)に高木何某が事情を説明すると、彼女は激怒して夫に問いただします。
「失礼ながら、旦那様はそれでも武士ですか。よもや死の覚悟をお忘れではありますまいな?」
侮辱を受けて、おめおめ帰って来たのか。名誉を損なわれたら一命を賭して戦うのが、武士の武士たる所以です。
「かつて忘れたことはない」
高木何某が憮然として答えるや、高木妻は続けて言いました。
「人間、誰でも一度は死にます。病気で死んだり、切腹を仰せつけられたり、縛り首その他色々あるでしょう。どれも大した違いはありませんが、見苦しい死に様を晒すことだけは、まこと無念でなりません」
人の一生は死に方で決まると言います。侮辱に耐えて目先の生命を永らえたところで、何の意味があるのでしょうか。
それだけ言うと、高木妻は表へ出て行きました。
夫婦揃って討ち入り
しばらくすると戻ってきた高木妻。二人の子供を寝かしつけ、松明を作ってきたと言います。
そして日もとっぷりくれた頃、いよいよ身支度を整えました。
「先ほど偵察してきたところ、かの三人は一箇所に集まっていました。そろそろよい頃合いですから、この機を逃さず参りましょう!」
言うなり高木妻は松明を灯して先に進み、夫婦揃って討ち入りに向かいます。