「べらぼう」蔦重まさかの”お初徳兵衛”プロポーズ!蝦夷地事情も急展開!史実を交え6月22日放送回を解説

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「べらぼう」蔦重まさかの”お初徳兵衛”プロポーズ!蝦夷地事情も急展開!史実を交え6月22日放送回を解説

日本橋は通油町の丸屋を買収しようと、あの手この手を巡らせる吉原・忘八アベンジャーズ。「吉原者出入無用」の高札も引っこ抜き、ついに日本橋を押し渡りました。

蔦重(横浜流星)は丸屋の娘・てい(橋本愛)が何よりも丸屋の存続を望んでいることを汲みとり、一緒に本屋「丸屋耕書堂」をやろうと持ちかけるまではよかったのですが……。

まさかの「お初徳兵衛(江戸っ子風:初対面の挨拶)」プロポーズ。「吉原者との取引は禁じても、結婚までは禁じられていない(意訳)」確かに理屈はそうかも知れませんが……なぜ脈があると思った?正直テンパっていたのかも知れませんね。

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いっぽう蝦夷地の上知作戦は、煮え切らない松前廣年(ひょうろく)の態度に難航していました。それが三浦庄司(原田泰造)のふとした発言がキッカケで、松前道廣(えなりかずき)の野心に火をつけます。

そして誰袖(福原遥)と大文字屋市兵衛(伊藤淳史)に「一緒に琥珀商い(抜荷)で儲けよう」などと言い出しました。まさかこんな形で松前公が釣れるとは、思わなかったことでしょう。

とまぁ今週も「そうきたか」で魅せられたNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、第24回放送「げにつれなきは日本橋」気になるトピックを振り返ってまいります。

アイヌの楽器・ムックリとは?

ムックリで遊ぶ三浦庄司。実際に演奏してみると、意外と中毒性がある。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

一橋治済(生田斗真)から田沼意次(渡辺謙)が譲り受け、三浦庄司が遊んでいたムックリ。

これはアイヌに伝わる楽器で、竹の薄板を弾いた音を口の中で共鳴させて演奏する口琴の一種です。

地方によってムックル(十勝や旭川など)・ムック(沙流)・ムフクナ・ムフクン(樺太)などとも呼ばれます。

シンプルな形状なので基本的に音は一つしか出ませんが、口の形を変えることでユニークな音を楽しめるので、触れる機会があったら試してみるといいでしょう。

松前廣年そっくり?ぬっぺっぽうとは

ひょうろく演じる蠣崎波響こと松前廣年。これはあくまで演者の問題では……?NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

言われてみれば確かにそっくりな気も……鳥山石燕『画図百鬼夜行』では「ぬつへつほふ(読み同じ)」と書かれるこの妖怪は、よく「のっぺらぼう(野箆坊)」とも言われますね。

妖怪画といえばこれ!水木しげるも参考にした、江戸時代 鳥山石燕による妖怪図鑑「画図百鬼夜行」

目鼻や口があるようなないような大きな顔に直接手足が生えたような姿をしており、一説にはかの徳川家康も目撃したことがあるとかないとか。

その肉を食べれば仙薬になると言いますが、どんな力が得られたとしても、気持ち悪くて口にしたくないですよね。

とりあえず、廣年が撃たれなくてよかったと思います。

誰袖「暁ばかり憂きものはなし…」

いちゃつきばかり、好きものはなし……蝦夷の話はともかく、ひとときの逢瀬を楽しむ二人。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

「暁ばかり憂きものはなし、いちゃつきばかり好(よ)きものもなし」

そう詠みながら田沼意知(宮沢氷魚)に煙管をすすめる誰袖花魁。歌詠みが板についてきたようですね。

この「暁ばかり憂きものはなし」は小倉百人一首の第30番

有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

※壬生忠岑(みぶの ただみね)/元歌は『古今和歌集』恋625

が元ネタとなっています。

【歌意】有明(明け方)の月と貴女の態度が冷淡に感じられたあの日の別れ以来、夜明け前ほど憂鬱なものはない。

……夜が明ければ帰らなくてはならない。吉原遊びの寂しさを思うと顔もつい曇りがちです。せめて一緒にいる今だけでも楽しくいちゃつきましょう。そんな思いが伝わる七七でした。

柏原屋与左衛門は丸屋を買おうとしていた?

本を愛する者同士、一緒に丸屋耕書堂(仮称)をやろうと提案する蔦重。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

一度は吉原忘八アベンジャーズに阻まれたものの、無事に丸屋を買い取った柏原屋与左衛門(川畑泰史)。

少しでも早く買い手を見つけようと急いでいた鶴屋喜右衛門(風間俊介)らは安堵したことでしょう。

鶴屋「このような急な話を受けてくださり、ありがとうございます」

柏原屋「いえ、江戸に出る話は店の内でも、前から上がっておりましてな」

よかったねぇ、おていさん。ここ(丸屋)が書物問屋になるなんてさ……なんて声も上がります。

地本問屋の丸屋にしてみれば、書物問屋の柏原屋に買ってもらうことで格が上がった、と言えるかも知れません。

しかし柏原屋は、内心で「丸屋を買い取って、蔦屋に転売すれば利ザヤで稼げる」と思っていたことでしょう。だからこそ「このような急な話」を受けてくれたのです。

早く売りたい丸屋&鶴屋と、早く買いたい蔦屋&吉原者の動きを逸早く察知し、商機と見るやすかさず飛びつく上方商人の嗅覚に「そうきたか」と思った視聴者も多いことでしょう。

そう言えば鶴屋さんも京都の出だったと思いますが、ちょっと江戸の水に慣れすぎてしまったのかも知れませんね。

伊達じゃなかった、ていの眼鏡

大河ドラマ「べらぼう」公式サイトより。彼女の横顔を見ると、鼻当てが確認できた。

劇中で、子供の頃から書物が好きで、父親が何度も眼鏡を作り直してくれたことが言及されていました。

ということは、ていの眼鏡は伊達でなく、ちゃんと度入りということになります。

つまり「眼鏡は世を欺く仮の姿で、眼鏡を外せば美人」という手が(閨など限られた場面を除いては)使えませんね。まぁ、彼女の素顔は夫となる蔦重だけが見ればいいのですが、予想が外れてしまいました。

ちなみに彼女がつけている眼鏡はスパニッシュイタリアン型と呼ばれる紐かけタイプで、日本人の顔に合うよう鼻当てがついています。

眼鏡の国内生産は17世紀ごろから長崎で始まり、18世紀に入ると大坂・京都・江戸でも行われるようになりました。

お初徳兵衛とは誰?

お初と徳兵衛(画像:Wikipedia/Suguri F氏)

ちなみに蔦重の言っていた「お初徳兵衛」とは、元禄16年(1703年)に大坂で心中事件を起こした男女の名前。後に「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」や「船徳(ふなとく)」などのモデルとなっています。

しかし初対面の相手(まして異性)に、心中した男女のダジャレはいかがなものでしょうか。勘ぐり次第では「一緒に心中しましょう、添い遂げましょう」と言っているように聞こえなくもありません。

悪気なくこういうことを口走ってしまう蔦重に、りつ(安達祐実)ならずとも内心「このべらぼうめ!」と思ったことでしょう。

第25回放送「灰の雨降る日本橋」

蔦重、ていと結婚。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

蔦重(横浜流星)が日本橋進出に躊躇する中、浅間山の大噴火が起こる。蔦重はこの機会を好機と捉え、てい(橋本愛)を訪ね、降灰からこの店を一緒に守らないかと提案する。

※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

「天明三年七の月(※七だけ朱文字)」「空から灰が降ってくる(※灰だけ朱文字)」のテロップは明らかに一部界隈で騒がれている都市伝説を煽っていますね。

政府が「軽挙妄動するな(意訳)」と言っているのに、公共放送がこんな調子でいいんでしょうか。あくまでフィクションだからいいのです。きっと。

「陶朱公の女房になりませんか?」

この陶朱公(とうしゅこう)とは中国大陸の春秋戦国時代に活躍した名参謀・范蠡(はん れい。紀元前5~4世紀)の別名。彼の妻がどのような女性だったのかは分かりませんが、その意(こころ)は来週のお楽しみ。

「灰降って地固まる」「こりゃあ恵みの灰だろ」

お初徳兵衛プロポーズから次週でいよいよ蔦重とていが結婚。今後ますます二人の活躍が楽しみですね!

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