『べらぼう』で描かれた佐野政言の”切腹”。武士道において作法まであった切腹はなぜ美徳なのか (2/3ページ)
切腹を再現した図 Wikipediaより
魂の在り処
それは当時、人間の生命の本体、つまり私たちが魂と呼んでいるものが、腹部に宿っているとされたからです。そのためその部分を切り開いて、人様に赤心をさらけだすというような意味で切腹という作法が定着したようです。
それが死を恐れない勇気と結びついて、武士の死に様としてはもっとも理想のものという考え方が生まれたそうです。
実際の作法
さて、実際の切腹の流れは、まず切腹人が沐浴をします。介錯の邪魔にならないよう、髪は茶筅に結われます。衣装は白か浅葱色、夏なら白帷子が普通でした。裃は水浅葱、無紋かつ麻の素材でした。
切腹刀は9寸5分(約29センチ)の短刀と決まっており、柄をはずし、切っ先5〜6寸を出して奉書紙で巻き、その上をこよりで結びました。北を向いて座し、盃で末期の水をふた口飲みます。終わると介添人が三方に乗せた切腹刀を運んできます。
切腹人は検使に目礼、腹を出すように衣服の前を広げ、三方を引き寄せ、いよいよ切腹刀を手にします。
左手で刀を取って目の位置に掲げ、右手に持ち替えて左手でおヘソの上を3度撫で、一気に左脇腹に突き立てます。そのまま右腹まで引き回します。