幕末の決定的瞬間を描いた『大政奉還図』実は矛盾だらけ!あの有名絵画に潜む奇妙な違和感 (4/4ページ)
そして翌14日に大政奉還の上表が提出され、15日に勅許が下りました。
つまり、もしあの絵が13日の会議を描いたものだとすれば、場所は大広間でなければなりませんし、そもそも慶喜はあの場にはおらず、老中が仕切っていたはずなのです。
慶喜が諸大名を前に演説をしたという事実は記録にはありません。
つまりあの有名な絵画は、明治時代以降に描かれた「歴史画」に過ぎず、作者による誇張盛り込まれた芸術作品です。
黒書院の優美な内装と、大広間での会議の規模感、そして慶喜が主導したという劇的なイメージを一枚の絵の中に再構成したものと言えるでしょう。
こうした理由から、近年の教科書では、誤解を招きかねないこの『大政奉還図』の掲載を見送るケースが増えています。
かつて私たちが歴史的真実だと思って眺めていたあの光景は、あくまでイメージ図に過ぎなかったのです。
参考資料:浮世博史『くつがえされた幕末維新史』2024年、さくら舎
画像:photoAC,Wikipedia
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