『豊臣兄弟!』男の一生を貫いた武将・前野長康の「辞世の句」秀吉に媚びず自害を選んだ覚悟の結末 (3/7ページ)
『豊臣兄弟!』でも、小一郎長秀(演:仲野太賀)が、織田信長に意見を述べる場面がたびたび描かれるが、多くは一喝されて終わる。
主君が勢力を増大し、やがて天下人へと上りつめたとき、家臣の言葉は次第に届きにくくなるものだ。
とりわけ、誰がどう見ても豊臣政権にとっては将来に災いを残す種となった朝鮮出兵を断行した豊臣秀吉に対し、表立って異を唱えた武将は、ほとんどいなかった。
前野長康を主人公にした遠藤周作の小説『男の一生』では、長康が四軍監の一人として渡海した朝鮮の地で目の当たりにした惨状を、秀吉に訴えようとしながらも、ついに言い出せない姿が描かれる。
これは史実とは断言できない。だが、誰も逆らえない巨大な権力を前にしたとき、最古参の家臣である長康でさえ沈黙せざるを得なかったという描写は、決して荒唐無稽ではない。しかし作中で長康は、その沈黙を自らの臆病さゆえと考え、苦悩する。