2024年紅麹事案 研究解説「プベルル酸と誘導された経緯「不完全同定」での断定報告——小林製薬技術担当者・梶田恵介氏の記者会見発言から確認される事実——」 (3/5ページ)
【記者会見映像(YouTube・現在も閲覧可能)】発言者:読売新聞 松田記者 → 小林製薬 梶田氏 該当発言:2時間53分〜約10分間 https://www.youtube.com/live/tfj9oeMeTQk?si=WSwtCvOSjeIKMN0l
(1)複数候補の認識とプベルル酸のみへの絞り込み
読売新聞記者の「国への報告と会見説明の齟齬」を問う質問に対し、梶田氏は次のとおり答えた。
「候補は複数と認識。国の調査会にはプベルル酸の可能性のみ報告。ピーク状況から同物質の可能性が高いと判断し報告した」
これは梶田氏自身が、複数の候補物質が存在すると社内で認識していながら、有識者会議にはプベルル酸のみを報告したことを認めた発言である。
(2)異性体数の未把握——完全同定の未実施を示す事実
読売新聞記者が「プベルル酸の異性体はいくつあるのか」と質問したのに対し、梶田氏は次のとおり答えた。
「検出が最近で調査中。異性体数は未把握」
この回答は、以下の科学的事実を直接示すものである。
● 化合物の完全同定には異性体の排除が必須要件である(分析化学の標準的定義)
● 異性体数を「未把握」とは、異性体排除の検討自体を実施していないことを意味する
● 異性体排除が実施されていない状態は、完全同定が完了していない状態と同義である
完全同定が完了していれば、責任者は異性体について明確に回答できるはずである。