2024年紅麹事案 研究解説「プベルル酸と誘導された経緯有識者会議が見逃した理由——開示行政文書が示す専門性の欠如と唯一の警告——」 (4/5ページ)
「国が主体となって国立医薬品食品衛生研究所という専門組織もございますので、そういったところでしっかりと原因究明を進めていきたい」
「国立医薬品食品衛生研究所、それから、小林製薬さんからのデータなども見ながら進めたいと思っております」
「小林製薬さんからのデータなども見ながら」という表現は、被調査企業提供データへの依存を前提とした方針であることを示している。
5 NIHSへのサンプル未到着が意味すること
伊藤参考人が「サンプルが何も届いていない」と述べた3月28日の時点では、NIHSによる独立した分析は開始されていなかった。
有識者会議の場に存在したのは、被調査企業である小林製薬自身が実施した分析結果のみであった。独立機関がこれを検証した記録は存在しなかった。
この事実は、大阪市保健所が食品衛生法第28条に基づく収去を実施していなかったことを自認した行政文書(大大保8562号)、およびNIHSが同定根拠文書の不存在を認めた開示文書(衛研発第0306002号)と整合する。
6 結論
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4NzA5MSMzNzIzNTAjMzcyMzUwX2JmODQzNzVhMTNmY2QxN2Y3MWMzN2MzNjNmZTQ1ZjYxLnBuZw.png ]
調査報告①と②を総合すると、以下の構造が開示文書と公開記録から確認される。
小林製薬が完全同定未完了の状態でプベルル酸のみを有識者会議に報告した。化合物同定の専門的発言がなされなかった有識者会議と、独立した分析を開始していなかったNIHS、収去を実施していなかった大阪市保健所、行政職主導の事務局がこれを見抜けなかった。