2024年紅麹事案 研究解説 大阪市保健所の回答の自己矛盾 ——「意思決定は行っていない」のに「プベルル酸が原因」とはどういうことか—— (2/4ページ)
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ところが大阪市は同時期、市民・報道機関・関係者に対して「紅麹コレステヘルプによる健康被害の原因はプベルル酸である」という前提のもとに行政対応を行ってきた。
「意思決定は行っていない」のに、なぜ「プベルル酸が原因」と市民に告知できるのか。この自己矛盾は解消不能である。
1 大大保第8033号が示す「決定なき用語使用」の構造
弊社が開示を求めたのは、大阪市(保健所を含む)が令和6年3月22日以降、小林製薬の紅麹に関連する事案において「プベルル酸」という用語を使用するに至った意思決定の過程が分かる一切の行政文書である。
大阪市の回答(大大保第8033号、令和8年4月20日付)は「不存在による非公開決定」であり、その理由として:
「プベルル酸という用語を使用するという本市としての意思決定は行っていない」
と明示した。すなわち大阪市は、「プベルル酸」という用語を公式に使用しながら、その使用に関して:
「意思決定」を行った事実がない
「意思決定過程の文書」を作成した事実がない
「意思決定過程の文書」を取得した事実がない
と自認した。行政が根拠を確認することなく用語を使用することは、市民への情報提供の正確性という観点から深刻な問題を提起する。
2 第3回食中毒対策本部会議資料との照合——「疑われるピーク」が「原因物質」に化ける経緯
弊社が参照した令和6年5月29日開催の「第3回小林製薬の紅麹配合食品にかかる大阪市食中毒対策本部会議」資料3(原因究明の進捗状況)には、次の記述がある:
「LC/MSなどの理化学検査によりプベルル酸+2種類の化合物が含まれているか否かを確認(疑われるピークを確認)」
「疑われるピーク」という表現は、同定が完了していないことを示す科学的な留保表現である。ところがこの留保は、報道・行政対応において消え去り、「プベルル酸が原因物質」という断定に変容した。