小林製薬紅麹事件研究解説 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用── (3/7ページ)

バリュープレス




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2 三重の誤謬──並列検証
2(1) 科学的誤謬──食品に医薬品の閾値評価を適用した
 紅麹(Monascus purpureus)は味噌・紹興酒・豆腐よう・漬物など、東アジアの発酵食品に千年以上使用されてきた食品素材である。
 そもそも、食品としての紅麹を1日にどれだけ食べてよいか、この設問を設計した役人あるいは有識者は知っていたのだろうか。紅麹は1日15g摂取しても問題がない食品素材である。現在、塩(食塩)の1日摂取目標量は約6gと定められている。それよりはるかに多く毎日摂取してよい食品に対して「1日あたり100mg以上食べたら危険かもしれない」という設問は、非科学を超えて滑稽である。
 おにぎりに置き換えて考えれば、その滑稽さは一目瞭然である。おにぎり1個に含まれる紅麹由来成分の量から逆算すれば、この設問は「1日におにぎりを10個以上食べたら危険かもしれない」と言っているのと同義である。実際、食品会社の経営者は、この設問を受け取った際に「変な質問をしてきた」と憤慨していた。食品のプロが直感的におかしいと感じた設問を、厚労省は公式の行政手続きとして全国の食品事業者に送付したのである。
 これはまさに「体温計で血圧を測る」行為である──体温計という計器は機能しているが、血圧という対象に対しては根本的に不適切な道具を使っている。紅麹原料の配合量ではなく、当該ロットにプベルル酸が混入していたか否かこそが、科学的に正当な評価基準であった。
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