小林製薬紅麹事件研究解説 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用── (5/7ページ)

バリュープレス


【小林製薬バリューサポートHP 紅麹製品ラインナップ(現在も公開中)】
出典:kobayashi-vs.co.jp/product/benikouji/(令和8年5月9日現在も公開中) 当社製品5P-Dと問題製品の規格・用途の相違は一目瞭然である

 なお、当社はこの自主点検基準を決定した根拠・経緯に関する行政文書の開示を請求したが、「文書不存在」との回答を受けた。「体温計で血圧を測る」設問がいかなる根拠・手続きに基づいて全国の食品事業者に送付されたのか、その決定過程を示す文書は存在しないとされている。
 さらに当社は、この自主点検を決定した有識者会議の委員全員に対し、昨年(令和7年)中に2回にわたり書面を送付し、設問の科学的根拠について回答を求めた。しかし、委員全員から一切の回答がなかった。「文書不存在」と無回答──この二つが重なった事実は、自主点検の設問設計が科学的に説明できるものではなかったことを、決定に関与した側が自ら示している。
2(3) 設問②の非科学性──健康被害の因果関係は誰が証明するのか
 自主点検の設問②は「過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」を対象とするものであった。文章の体裁は整っているが、その内実は非科学そのものである。
 第一に、食品会社には消費者が医療機関を受診したかどうかを把握する義務はない。医薬品の副作用報告制度(薬事法上の義務)とは根本的に異なり、食品事業者に対してそのような報告体制を求める法的根拠は存在しない。「医師からの報告が1件以上あったか」と問われても、そもそも情報が届く仕組みが食品会社には存在しないのである。
 第二に、そもそも食品と健康被害の因果関係を証明することは、医薬品の副作用判定と比較してもはるかに困難である。医薬品でさえ、「この薬による副作用か」の判断は専門的な委員会が時間をかけて行う。日常的に摂取する食品において「過去3年間に1件でも医師から報告があれば対象」という設問は、因果関係の証明責任を事業者に丸投げしたものに過ぎない。「1件」という基準値に科学的根拠はなく、判定方法も示されていない。
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