第11回「斎藤茂太 旅の文学賞」は、上田大作『明日も、森のどこかで』に決定!同時に、旅のさまざまな魅力を伝える優れた書籍を第8回「旅の良書」に選出しました (3/5ページ)
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斎藤茂太 旅の文学賞
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旅の本
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斎藤茂太賞
[最終選考委員]
下重暁子(作家・日本旅行作家協会会長)
椎名誠(作家・日本旅行作家協会副会長)
大岡玲(作家・東京経済大教授)
芦原伸(ノンフィクション作家・日本旅行作家協会副会長)
[第11回「斎藤茂太 旅の文学賞」受賞作]
『明日も、森のどこかで』上田大作(閑人堂)
[総評]
最終選考委員 下重 暁子(作家・日本旅行作家協会会長)
第十一回を迎えて、今回の選考がもっとも難しかったとも言えます。最終選考に残った「明日も、森のどこかで」「フェルモサ南方奇譚」「中国Tik Tok民俗学 スマホからはじまる珍神探訪」の3冊とも大変な労作でした。
私の大事にしている井上ひさしの有名な言葉に、
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをあくまでもゆかいにふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでもゆかいに」
が、ありますが、その観点から言えば「フェルモサ南方奇譚」は台湾の日本との関係や時代背景がよく書けているし、「中国TikTok民俗学」は目のつけどころが現代的であるところに惹かれますが、研究書のようなところもあって読むのに少し苦労がいったり、やや自己満足的で読者に寄り添うという点に欠けたりするところがある印象です。その点では、「明日も、森のどこかで」はやさしくて、伝わりやすい。年間250日近く北海道で暮らして20年間、じっくり自然と向き合ってきて人生そのものをかけた感動が伝わってきます。写真はいうまでもなく素晴らしいですが、文章もディテールが細やかで繊細でありながら素直で分かりやすい。作者自身を書き込んであればさらによかったと思います。
というようなことで、受賞作は「明日も、森のどこかで」に決まりました。
今回の候補作は読んで、フィールドワークともいえる著作が多く、「斎藤茂太 旅の文学賞」とはいったい何だろう、どこを目指していくべきなのかなど、あらためて考えさせられたことも今回の最終選考会の一つの成果だったかもしれません。