小林製薬紅麹事件研究解説 紅麹コレステヘルプ(BP-412株)と抗生物質の製法との比較——工業性変異株の使い方についての比較調査 (2/6ページ)
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4NzA5MSMzNzU2MTQjMzc1NjE0X2EzZTg5YzkxZGZlNDcyOTFlMGU2MmQwNTk1YjNjYjBmLnBuZw.png ]
これらはいずれも、微生物が自然状態では産生量が極めて少なく、そのままでは医薬品製造に使えない。そこで産業上の要請から、産生量を最大化するための工業性変異株が開発されてきた。
■ ② なぜ工業性変異株が必要か——産生量の壁
野生株(自然界に存在する菌株)は、自身の生存に必要な量しか目的物質を産生しない。医薬品製造には桁違いの産生量が必要であり、野生株では到底対応できない。
工業性変異株の作製方法は主に以下のとおりである。
・ 紫外線照射(UV変異):DNAに変異を導入し、産生量を増大させる株を選別
・ 化学変異原処理:変異剤を用いてより広範な変異を導入
・ 遺伝子組み換え技術:目的遺伝子の過剰発現や代謝経路の改変
このような変異株開発の努力は、現代の医薬品製造において当然の工程として確立されている。BP-412もまた、同じ技術的文脈で2007年に受託開発された工業性変異株(UV変異処理)である(PR71参照)。
■ ③ 医薬品製造における「精製」という絶対条件
しかし、抗生物質製造において工業性変異株が広く使用されていても、医薬品が安全である理由は明確である。それは「精製」という工程が必ず介在するからだ。
医薬品製造における精製の意味を整理する。